三条市本町1、東映ムービルは6月30日、フォークグループ「NSP」のメンバーだった中村貴之さんのライブコンサートを行い、約90人が来場してデビューから40年、加えて還暦を迎えた中村さんが演奏する懐かしいナンバーに聴き入った。
NSPは岩手県・一関工業高等専門学校の同級生3人で結成したフォークグループで、73年デビュー。中村貴之さんはボーカルとギターを担当。中村さんは85年に脱退して音楽活動を離れ、NSPも87年に解散。02年にオリジナルメンバーで再結成するも、リーダーの天野滋さんは05年に死去した。
その後、中村さんはソロ活動を始め、この6月25日に初めてのソロアルバム『Unforgettable』をリリースしたばかり。今回はちょうど満60歳の誕生日だった6月12日から11月まで10日までの還暦ツアーの一環で東映ムービルでコンサートを行った。
中村さんはサポートギタリストと2人でNSP時代の曲からニューアルバムの曲まで15曲ほどを演奏した。NSP最大のヒット曲『夕暮れ時はさびしそう』をはじめ、『八十八夜』、『面影橋』など。中村さんはとても還暦とは見えないほど若々しく、歌声もデビュー当時と聴き比べなければわからないくらい変わりない。
NSPはデビューアルバムがいきなりライブ演奏だったが、MCにも定評がある。NSP時代はどこへ言っても黄色い声に包まれたが、会場を見渡して「きょうは黄色い声は出そうにない」と笑わせ、出身地にある一ノ関駅前通りが「NSP通り」と命名されたことを紹介した。
『夕暮れ時はさびしそう』では欠かせないオカリナも演奏。このオカリナは当時、購入したもので、一度は割れたが音色がきれいなので今も接着剤でくっつけて使っているというエピソードも話した。
来場したのは、中村さんより少し下の50歳代の女性が中心。おとなと子どもの間で揺れ動く恋愛の恥じらいなどを込めた歌に心をつかまれた少女時代を思い出し、切なく甘酸っぱい思いにひたっていた。
中村さんが三条市を訪れたのは初めて。かつては雲の上の存在だった中村さんを目の当たりにして、目はハートマークが見えるのではないかと思うほど、うっとり。中村さんのグッズを買って列を作って中村さんからサインしてもらい、中村さんも笑顔で応えていた。