三条市が『三条鍛冶のはじまりと発展』出版 (2013.7.4)

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三条市は「金物の町・三条」を取り巻く歴史をさまざまな視点から見直し、評価し直した調査、執筆した『三条鍛冶のはじまりと発展』をこのほど発刊した。

三条市が出版した『三条鍛冶のはじまりと発展』
三条市が出版した『三条鍛冶のはじまりと発展』

B5判、85ページで500部を作成。寄贈分を除く200部を1部600円で有償頒布している。

調査、執筆は、国立歴史民俗博物館名誉教授の朝岡康二さんが鍛冶調査全般、、新潟県民具学会会長の五十嵐稔さんが民俗学的調査、三条市文化財保護審議会委員の松永克男さんが古文書調査を担当した。

三条鍛冶の歴史を「さまざまな視点」で見直したというのは、「はじめに」から引用すると、中世の三条の考古学的な背景、三条城の築城、近世の水田開拓や周辺地域の鉱山開発、地域経済の中心的な町、川港としての三条、三国峠を越えて関東・江戸につながる鉄道産地への変貌。

そして明治の開国のインパクトから河川交通から鉄道流通へと移行、消費地の生活様式の近代化と新しい製品需要、新式機械技術の伝播など、内面的、外面的な変貌と、それに対する町の人々の対応とのかかわりを意識しながら、もう一度、位置づけ直した。

「三条鍛冶の歴史と民俗」、「江戸時代の三条町の成立と金物及び所産物」、「近代三条の鍛冶」の3つの章を立てた。第一章では、下町遺跡や大崎鋳物師にもさかのぼり、鍛冶町の形成、町鍛冶の台頭、野鍛冶と貸鍬、金山講、戦時体制と鉄工業。第二章では三条町の成立と近世の三条金物、下田郷の産物の概況、鍛冶炭(かじこ)、砥石(といし)、鍬柄、鉛山。第三章では金物商いの草創期の江戸送り釘荷や大工道具、明治時代の金物産業として産物や輸入洋釘とその国産化、北越商鉄組合と三条金物同業組合、大正・昭和の金物産業としてナイフや当時の資料などを掲載する。

三条市は平成23、24年度とふるさと三条固有の歴史を物語る「鍛冶」、「小路」、「凧合戦」について、文化遺産を記録、保存し、活用しようと「ふるさと再発見調査事業」に取り組んだ。「小路」は先に『越後三条 小路百選〜小路のガイドブック〜』を発行、「凧合戦」も先に発行した郷土記録誌『ふるさと三条』に「三条六角凧と凧合戦」として収録しており、今回の「鍛冶」の『三条鍛冶のはじまりと発展』発行で事業がすべて終わったことになる。

一般の有償頒布は、中央公民館、栄公民館、下田公民館、図書館本館、歴史民俗産業資料館で行っている。問い合わせは市民部生涯学習課文化振興係(電話:0256-47-0048)へ。

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