出発は第三セクターの富山ライトレールが運営する富山港線の北端、岩瀬浜電停だ。“電停”は耳慣れないが、路面電車などの駅のことで、“電車停留場”や“電車停留所”の略。“駅”というと、まず駅舎の建物がイメージされるが、電停はホームだけがある感じで、“停留所”と呼ぶにふさわしい外観だ。
電停の背面のガラスには、駅周辺の歴史や歳時記などを図説紹介して、各電停の表情を個性化している。富山港、日本海が目と鼻の先の岩瀬浜電停は、北前船がデザインされている。デザインには企業も協賛しているようだ。
7編成の車両は、それぞれ7色をアクセントカラーにしている。すべての車両に乗りたくなるような工夫と以前、聞いた。乗った車両のアクセントカラーはグリーンだ。2車体2台車連接車の構成で、ぱっと見はガラスが大きく、開放的で軽やかな印象だ。車内へ入ると座席は少なく28人分だが、立ち席を含めて定員は80人だ。
運賃は下りるときに運転席のところで、運賃箱に投入する。バスのイメージだ。運賃は距離に関係なく均一でおとな200円、子どもは170円。ICカード「passca」を使えばそれぞれ170円、90円になり、さらに定期券もある。
発車時刻は平日の午前7時台が6本と最も多く、午前9時から午後7時までは1時間に4本。個人的には、時刻表を意識せずに利用できるのは15分間隔までと思っているが、ちょうどその間隔に収まっている。
走り出すと車内は一般の鉄道の車内より静かだ。ほとんどはJR西日本運営時は専用軌道なので、車窓から見える風景は一般の鉄道と変わらないが、やはりガラスが大きいので気持ちがいい。単線なので、車両は電停部分ですれ違う。
富山駅に近づくと併用軌道に切り替わり、路面電車になる。景色がぐんと広がり、25分ほどであっと言う間に富山駅北電停に到着だ。
途中の電停で“岩瀬ゆうこ”という萌えキャラ風のイラストが目に入った。あとで調べると、鉄道に関する職場で働く女性をモチーフにトミーテックが中心となって展開しているキャラクターコンテンツ「鉄道むすめ」だとか。全国“鉄道むすめ”巡り実施中の広告のようだ。いろんなことを考えるなと感心。勝手に燕三条をオタクの聖地にという構想もあったりするが、それはまたいずれ。
続く…