中小企業大学校三条校(小田島祥行校長)は、6月17日から7月12日まで行っている研修「経営診断基礎」のなかで、全国の中企大でも初めて個店診断実習を科目に組み込み、三条市内の店舗の経営者にヒアリングし、改善提案をする。
商工会や商工会議所の経営指導員などは必須の研修で、小規模事業者の経営特性や経営実態のとらえ方、評価の仕方などを習得し、指導能力の向上を図るのがねらい。4週にわたる研修で、これまで同校に缶詰めでの座学ばかりだったが、今回は初めて外に出て個店診断実習を組み込んだ。
個店診断実習は研修の最終週、8日から12日までの5日間で、対象の個店はカネギトータルフーズ、Mercerie plus Bon Bon、Hair Design MoMo、匠の厨房 あづみ家の三条市内4店。今回は長野県からの1人を含めて県内各地から17人が参加しており、その初日8日は午後から各店に分かれて現地視察、ヒアリングを行った。
その前に個店診断の進め方、現地視察時のチェックポイント、ヒアリング項目の検討などを行っており、それに沿って経営者からヒアリング。店の概要などを大ざっぱに聞いてから、カネギトータルフーズでは、売れ筋、主な仕入れ先、在庫管理、Hair Design MoMoではスタッフごとの売り上げの把握、駐車場の料金、就業規則、接客マニュアルなどを聞いた。
売り上げや給与など、経営者にとっては答えをためらうような質問も多かったが、適切な診断、改善案の検討にはデータが重要で、受講者はできる限り情報を集めていた。
このあとの研修では現状分析、問題点の抽出、改善案の検討と決定、報告書と資料の作成、班別発表などを行い、最終日12日は再び各店へ出向いて改善提案の報告会を行う。
個店診断実習は、この研修の総まとめという位置づけで、実際に店舗を診断することで市内の店舗活性化にも役立てようというもの。三条市と三条商工会議所の協力で対象の店舗を紹介してもらって初めて実現したもので、全国の中企大9校でも個店診断実習を行うのはこれが初めて。
いわばリアルな店舗を相手にしたフィールドワーク。中企大三条校人材支援課の井上謙之介主任は、受講者はこれまでも夜中まで議論しており、今回のヒアリング後も夜遅くまで議論が続くと見ており、「研修のなかで個店診断実習がいちばん勉強になるのでは」と新たな取り組みの成果に期待していた。