Amazonは16日、DIY・工具ストアで「Amazon 匠ストア」をオープンした。日本の伝統工芸を生み出す職人の技と商品を紹介するストア。その第1弾として全国の数ある伝統工芸のなかから三条市の「越後三条鍛冶」を特集した。
匠ストアでは、伝統工芸品の紹介とどまらず、それを生み出す匠と技術、歴史、制作過程を総合的に紹介する。
その第1弾特集の「越後三条鍛冶」は1625年に始まったとされる日本代表する鍛冶産地のひとつで、今も金属加工を中心に発展。匠ストアでは、越後三条鍛冶集団の職人による農具、のみなどの大工用品、園芸用品、調理用品をはじめ三条市で製造されている商品約800点の品ぞろえを提供する。
しかもAmazonで初めての動画でのインターネットプロモーションにも取り組み、越後三条鍛冶集団の紹介と越後三条鍛冶集団から5社の匠を動画で紹介する。5社は相田合同工場の農具製造、今井ノミ製作所の大工用ノミ製造、平木鋏製作所の木鋏製造、水野製作所の刃物製造業、タダフサの庖丁製造。それぞれ3分余りの動画を閲覧できる。
また、匠ストアオープンを記念して、三条市が運営する三条鍛冶道場で抽選で10組、20人に親子で「和釘風鈴づくり」の体験と「SUWADA OPEN FACTORY」を見学できる「Amazon 匠ストア 夏休み親子匠体験&工場見学」を開く。
日本鍛冶学会は昨年9月、三条市の国定勇人市長が発起人となり、福井県越前市や兵庫県三木市なども参加し、金属加工技術の基礎となる「鍛冶」の未来をともに考えようと発足。産地の製造業者、卸売業者と、消費者との今後の関係をどのように再構築していくかを大きな課題として取り上げ、その取り組みに着目したAmazonとことし4月、「アマゾン・ジャパンの取組を聞く勉強会」を開いた。
その後、Amazonと越後三条鍛冶集団と連携してストア構築を進めてきた。匠ストアのページには国定勇人三条市長のコメントも掲載されており、匠ストアを通じて「三条鍛冶の技術・職人・製品の魅力や価値が多くの方に認識され、生活の中に三条鍛冶の製品が取り入れられることにより、鍛冶の文化が継承されていくことを期待しております」とある。
全国各地に数多くの伝統工芸品が存在するなかから、越後三条鍛冶が匠ストアの第1弾に選ばれたのは、対外的はもちろん、内部的にもインパクトは大きい。「越後三条打刃物」にしても伝統的工芸品に指定されたのは2009年4月とまだ3年余りしかたっておらず、日本鍛冶学会の発足はもちろん、官民挙げて三条鍛冶の再評価やPRに取り組んできた成果のひとつと言うことができ、これからの取り組みの大きなばねになるはずだ。