三条断酒友の会(外山戦太郎会長)は14日、三条市総合福祉センターなどでアルコール関連市民公開セミナーを開き、参加した100人近くが、河渡病院=新潟市東区有楽1=の和泉貞次院長の講演を聴き、晩酌の習慣化などだれでもなりうる「アルコール依存」や病気に進行した「アルコール依存症」、うつ病や自殺との関連などについて学習した。
セミナーは2部構成で、1部は午前10時から会員45人が参加し、同福祉センターと近くのコメリ四日町店、原信四日町店の3カ所で「飲酒運転撲滅キャンペーン」を実施。ちらしなどを配布してアルコール依存症と関連の深い飲酒運転の根絶を呼びかけた。
2部は、アルコール関連勉強会として講演会を開き、「アルコールに飲まれてたまるか!-健康で安全な生活のために-」をテーマに和泉院長の講演を聴いた。
和泉院長は、アルコール依存症治療歴30年。専門は、精神医学全般、アルコール依存治療で、全日本断酒連盟顧問、日本アルコール関連問題学会理事、新潟大学医学部臨床教授などについている。
講演では、「人生をほろぼそうと思って(酒を)飲んでいる人はいない。引きずり込まれていくアルコールの怖さ。大げさではなく本当のことを伝えようと思う」と始め、アルコール依存とアルコール依存症について「だれでもなりうる」とし、正しい知識を説明した。
どのようにして飲酒し、自己制御ができなくなっていくのか、身体的や精神的にどのような症状になるのか、家庭の崩壊や解雇倒産、貧困などのアルコール依存症の影響、アルコール依存症と自殺、飲酒運転の関係、アルコールとうまく付き合う方法などについて話を進めた。
さらに、「アルコール依存症につきまとう誤解と偏見」として、意志の弱い人や人格障害者がなる病気、酒を取り上げてしまえばよい、悪い奥さんだし仕事もきついから、治らないなどの誤解が多いことなども話した。
アルコール依存症と診断されるには、「量の多少や肝障害の有無ではない、飲酒ブレーキ(抑制)欠如のこと」、「脳が変化した病気であることを示し、意志が弱いうんぬんではない」。アルコール依存症からの回復は容易でなく、薬で治せるものでもない。自ら飲酒をやめようと思う事を前提とした決意と努力の継続が必要とした。
さらに、自殺要因の連鎖を紹介し、失業、過労、事業不振、家庭不和などいくつかが重なり合ってうつ病になる可能性がある。また、どの要因も依存症が関係し、どの要因も依存症に陥る原因と述べた。自殺とアルコール依存症の関係について説明し、国は(酒税など)税金はとるが対応をしていないとの考えを示し、国の対応も必要とした。
すでに酒を断っているという断酒会会員は、忘れそうになっていたことを思い出させてくれたと初心に返り、会員以外の人たちもメモをとるなどし、講演後には、アルコール依存の治療に関して直接、和泉院長に質問する人もいた。