日展会友の洋画家、堀研一さん(67)=燕市吉田春日町=の昨年に続いての個展「堀研一 形態との出会い」が8月4日まで「弥彦の丘美術館」=弥彦村弥彦=で開かれており、およそ25年にもわたって堀さんの創作意欲を駆り立ててくれているモチーフ、ピエロの人形との出会いを作品とピエロの人形そのものも展示して紹介している。
一昨年、日展特選を受けた『小休止(パイプの煙)』を中心に19点を展示するほか、ロビーにも小品を展示している。堀さんと言えばピエロの人形がモチーフ。日展特選を受けた作品はもちろん、日展、光風会展、県展に出展したピエロの人形を描いた作品のほか、新たなモチーフのペンキがはがれ落ちた赤い壁のほか、静物画、堀さんの作品では妙高の黒姫高原や守門を描いた風景画もある。
堀さんが本格的に絵を始めたのは25歳のとき。1972年の新潟県美術展(県展)に初出品で初入選したが、翌年から5年連続で落選。「もう1回、入ろうとあきらめずに続けてきて今がある」と堀さんは言う。
80年の県展では奨励賞、85年の県芸展で連盟賞を受賞。85年に光風会展奨励賞と県展奨励賞、87年には光風会奨励賞と県展では県展賞を受けた。日展は88年に初入選してから毎年、入選。光風会では90年に会友に推挙され、96年から会員となり、今は新潟支部の事務局も務める。日展では03年に会友に推挙され、11年には特選に輝き、翌年から無鑑査出品に。県展では無鑑査、県美術家連盟理事にも就く。自宅と新潟日報カルチャースクール三条教室で洋画を教えている。
今、描いているピエロの人形は2代目。会場には初代の人形を、いつも人形と一緒に描いているごつい革のトランクやコート、麻袋などと組み合わせて展示して、堀さんが生み出すイメージの源泉を公開。これが個展のタイトルにある「形態との出会い」そのものだ。
ピエロの人形をモチーフにして25年ほどになる。初代はイギリスの人形で、今の2代目は東京の恵比寿で見つけた。「モチーフとの出会いがあったから、こうして描けるんであってね。そうでなければ続かない」と堀さんは言う。
「フランス人形や市松人形を描く人は多いけど、メッセージの強い人形を描く人はほとんどいないね。だから続けていられるんだろうね」と話す一方、「絵描きはいかに絵になるかしか考えないんだわね。何を表現するかは後付けになる」とも。
長くピエロの人形を描き続けているので、「構成には苦労する」が、カンバスに向かえば「常に新鮮です。もっとも、新鮮じゃなきゃ描けねーわね。自分で見飽きたと思ったらもう描けない」。
「そのモチーフにほれ込んでるんだろうね。いくら描いても描ききれないところがある。イマジネーションがぼんぼんわいてくる」。それだけの魅力をピエロの人形に感じているが、「これ以上の人形やモチーフが出れば変えますけどね」と向上できるならこだわらない。
ことしも11月の日展に向けてすでに作品制作に取りかかっている。堀さんは「もう1回、特選をとってみたい」ときっぱり言うが、実現可能性となると「ことしは何とも言えません。無理だな…。まあ、でも、努力だけはしますけどね」と控えめだ。
「特選を1回、取ったってなんにもならない。2回、取ることによってこの1回の特選が生きてくる」。そうこだわるのも、「2回、取らなきゃ日展会員にはなれない」から。「ここまできたら会員を目指したい。目標をもたんとね。やっていかれない。何も目標がなかったら、何でも厳しいね」。
6、7年に1回ほどのペースで個展を開いてきたが、今回は昨年の弥彦村総合コミュニティーセンターに続いての開催。来年8月の新潟市・万代島美術館での小品展も決まっている。
「多くの人に見てもらわないとね。見てもらうのがいちばんなんだ」、「人との出会いも大事だしね。人の出会いは運を運んでくれるからね」と大勢の来場を待っている。
会期中は無休で午前9時から午後4時半まで開館、入館料は高校生以上のおとな300円、小中学生100円。最終日の8月4日は午後2時から作品解説会が開かれる。問い合わせは同美術館(電話:0256-94-4875)へ。