三条市は、10月の工場見学を中心としたイベント「燕三条 工場の祭典」に向け、燕市の企業にも参加を呼びかけて準備を進めている。企業間の温度差が大きく、苦戦しているという声も聞かれる一方、関係者の奮闘ぶりも聞こえてくる。
それに向けて今月1、2日と「プレ工場の祭典」を開き、東京芸術大学の学生ら27人が三条市を訪れて本番に先駆けて燕三条地域の工場見学を体験した。1日目の夜、開かれた企業と学生の意見交換交流会では、国定勇人市長もブログに書いていたが、学生が積極的に経営者に話しかけている姿に、なんと意識が高いんだろうと驚いた。
ただ、あとで聞いた話だと、競争率数十倍という狭き門の芸大には、6浪、7浪も珍しくないとか。一般的な大学生のイメージよりかなり年齢が上らしいが、それを割り引いても芸大生のスペックは高かった。
交流会の冒頭のあいさつで、国定市長。「地元三条市で市長を…」と始めたのは良かったが、“燕三条地域”と言うべきところ、「ようこそ皆さま方“燕三条市”に…燕三条市じゃない…」と自分でも噴き出してしまった。それだけ工場の祭典は“三条市”ではなく“燕三条”が一体となって取り組むんだという強い思い入れや決意の表れなのだろう。一気に空気が和むほのぼのとした“ミス”だったが、“燕三条”で取り組みたいのは、何も工場見学や産業分野だけではない。回りくどいが、ようやくここからが本題だ。
国定市長は7日行った定例記者会見で、三条の市(いち)の魅力を紹介する情報誌『越後三条 定期市』を作製したことを発表した。定期市のPRこそ“燕三条”で取り組んでほしいと常々、思っていた。なぜ燕三条で取り組む必要があるのかと問われれば、ちゃんと理由がある。開催日がポイントだ。
三条市の2つの定期市は二・七と五・十。それぞれ“2”と“7”、“5”と“10”が付く日に開かれる。燕市はどうか。燕市には旧3市町にそれぞれが定期市がある。燕地区は「3・8の市」。吉田地区の露店市場は“1”と“6”が付く日、分水地区の地蔵堂市は“4”と“9”の付く日の開催。おわかりだろうか。
答えは、燕三条の5つの市は見事にすべて開催日が異なっているうえ、燕三条は毎日、どこかで定期市が開かれているというわけだ。と、偉そうに書いているが、何年か前に燕市の観光キャラクター「きららん」からの受け売りであることを白状しておく。
これは偶然ではない。出店者側からすれば開催日が同じでは、定期市を選んで出店せざるを得ない。開催日が違っていれば、それぞれの定期市に出店できる。燕三条の境界付近の出店者なら、燕三条の5つの定期市に毎日、順に出店するのはたやすい。実際、市の境界をまたいで出店している人も少なくない。
開催日を気にせずとも、とりあえず燕三条に来れば必ずどこかで定期市をやっているというのが、いい。対外的にPRするには、三条市の定期市を単独でPRするよりずっと訴求力がある。どこかのコンビニ店のように、燕三条の定期市は「やってて良かった」というコピーもいいかも。今回の情報誌はともかくとして、次はぜひ燕三条版をつくってほしい。となると燕三条地場産業振興センターが主体になるのが好ましいのか。
そんなわけで国定市長のあいさつの“燕三条市”はミスだったが、代わりに燕三条の定期市は“燕三条市(いち)”ということでどうだろう。「きららん」の燕市の市のリポートが新潟県観光協会の「うまさぎっしり新潟ブログ」に「燕市・露店市場に行ってまいりました〜」で残っているので、リンクを張っておく。