三条市グリーンスポーツセンターは14日昼、1,000円でお釣りがある格安の太陽熱調理器「ソーラークッカー」を使った飯ごう炊飯にチャレンジした。
このソーラクッカー、太陽光を集めて太陽熱で調理するという器具。素材は段ボールで、50センチ四方ほどの箱に入っている。
部品をはめこんだり、クリップでとめたりするだけで完成。段ボールの銀色になった面で囲み、太陽光を反射させて集光するという仕組み。パラボラアンテナのような形を想像した人もいるだろうが、実際はこれで本当に調理できるんだろうかと心配になるほど拍子抜けするシンプルさだ。
鳥羽和明センター長は、日差しが強くなる時間をねらって午前10時40分に調理開始。駐車場に置き、コメ1合と水を入れた飯ごうを真ん中に置き、あとは炊きあがりを待つだけだ。この日の三条は夏本番の抜けるような青空が広がり、気温はことし最高の34.9度を記録。実験には最適な環境となった。
40分後の11時20分、中は湯になったものの沸騰していないようだったので、外気に冷まされないように飯ごうを透明なビニール袋で覆うと、たちまちにビニールの内側は蒸気で白くなり、期待が膨らんだ。
順調だったが、調理開始から1時間後の11時40分に想定外のアクシデントが発生。駐車場に入ってきた車にぶつけられ、修復不可能なまでに壊れてしまった。万事休す。鳥羽センター長は肩を落とし、しばらくそのまま放置していたが、気を取り直して飯ごうを開けてみた。
飯ごうもゆがんでいてふたを開けるのに苦労したが、「あっ、でも炊きあがってるほとんど」と鳥羽センター長は驚きの声。「食べられそうですよ」とにっこり。上の部分はほぼ完璧な炊きあがりで、底の方はやや水っぽいものの、おかゆというほどではなく、十分においしく食べられるできあがりだった。
同センターではサバイバルや防災の体験プログラムを取り入れたキャンプイベントを行う計画がある。一度でも体験しておけば、災害時にもすぐに柔軟に対応できるのではないかと期待する。
鳥羽センター長は、この調理器が「使えるものであるということは良くわかりました。夏でなくてもいけるんじゃかと思います」と手応えは十分。「あえてアナログ化して手間暇かけてやってみるのがおもしろい」と大満足だった。