「YAMACO」のブランドで世界に認められた洋食器メーカー山崎金属工業(山崎悦次社長・燕市大曲)は、鎚起銅器の玉川堂(玉川基行社長・燕市中央通り2)など国内の老舗5社それぞれの技術で伊勢神宮の式年遷宮を記念した最高級食器シリーズ「瑞音(Zuion)」を開発。日本でしかできないものづくりの技術と心を世界に発信する。
「瑞音」は15のアイテムで構成する。山崎金属工業のナイフ、フォーク、スプーン、はし置きなどのカトラリーに、玉川堂の鎚起銅器のチャージャープレートとカップ。さらに長崎県・石丸陶芸の皿とソーサー&カップ、沖縄県・角萬漆器のはしとコースター、そして新潟県・小千谷織物同業協同組合のユネスコの重要無形文化遺産に指定されている「小千谷縮」。
さらにシリーズ1セットを納める伊勢神宮の紋を記した桐箱を、桐タンスメーカーの茂野タンス店=茂野克司社長・田上町=が製作する。
デザインコンセプトは、伊勢神宮のそばを流れる「五十鈴川」。その流れや宇治橋の擬宝珠をデザインする。受注生産で1セット約18万円、収納用の桐箱に納めたセットは約38万円。食器は個別でも販売する。国内では百貨店などで9月末ころから受注をスタートし、その後、台湾、アメリカなど海外にもアプローチしていく。
「瑞音」の開発は、企画・デザイン・監修・プロデュースを手掛ける島田麻呂から、ノーベル賞創設90周年カトラリーを製作した実績のある山崎金属工業にアプローチがあり、2009年にスタート。国内外で実績が認められている6社・団体が手掛けた最高のシリーズとして4年をかけて完成し、8月7日に外宮と内宮それぞれに山崎社長も参列して奉納された。
山崎社長は、伊勢神宮への奉納について「名誉なこと」。販売元となる同社では、「緊張感があります。世界の富裕層を相手にする。ごまかしはきかない」。
同社では「日本でしかできないものづくりの技術と心を世界に発信していきたい」という思いを込めており、「各分野のナンバーワンメーカーが20年に一度の遷宮にあわせて作った記念品」。「瑞音」を販売した利益の一部は奉納することにしている。
玉川堂の玉川社長は、「20年後にも奉納できるように無形の技術を燕で守っていかなければならない」と話している。