16日に三条鍛冶道場周辺で開かれる計画だった三条マルシェは、台風18号の接近で風雨が強まったため、2010年9月のスタート以来、初めて中止に追い込まれた。
あわせて計画された若者がつくる「まんなかフェス」も出店は中止で、希望した数店だけ三条小学校体育館に移動。そのステージイベントは、今回の三条マルシェの目玉のよさこいソーランと一緒に三条小体育館で行われ、子ども大名行列は大幅に規模を縮小。子どもたちによるフリーマケット「子どもフリマ」は中止となったが、予定していた三条マルシェの終了時刻ころには雨がやんで日も差し始め、台風にほんろうされた。
前日から台風の影響が予想され、早朝午前4時55分には三条市に大雨、洪水、暴風の警報が発表された。当初、開催の有無を最終判断するとしていた午前6時には開催と決めたが、しだいに風雨が強まり、午前10時のスタート直前に中止を決定。続いて八幡宮境内が会場の「まんなかフェス」の出店も中止し、希望した4店だけが三条小体育館へ移動した。
子ども大名行列は午前10時前から予定通り八幡宮で神事を行って始まった。小学校高学年を中心に30人余りが参加。行列は参道を出て右回りに進む計画だったが、八幡宮裏手のJR弥彦線の高架下だけを使い、大幅に規模を縮小した。
高架下とはいえ、横なぐりの雨ではあまり雨よけの効果は果たさなかった。ただ雨に濡れても寒くなかったのは幸い。やっこやてんぐの衣装を着た子どもたちは、遠くの景色がかすんで見えるほどの強い雨にぬれながらも、100メートル余りを行列した。
あまりの悪条件にむずかる子どももいたが、そこは本物の大名行列を支えるおとなたちがサポート。やっこが道具の投げ渡しに成功すると「おーっ!」と大きな声を上げて喜び、子どもたちと大きなかけ声を出す練習をするなど、折れそうな子どもたちの心を盛り立てた。
一方、三条小体育館では、高校生の書道ガールズによるパフォーマンスに続き、午前11時から三条マルシェのイベントとして用意した、よさこいソーランがスタート。この荒天にもかかわらずキャンセルしたのは県外からの富山県の1団体だけで、県内各地から12団体、約200人が予定通りに参加。団体ごとに踊りを披露するとともに、全団体が一緒に総踊りも行った。
午後1時からは、まんなかフェスの目玉、女性シンガーソングライター、川嶋あいさんによるライブ。川嶋さんは来年、3小学校を統合して開校する嵐南小学校の校歌をつくることが決まっており、翌17日はその3小学校を訪問する。
胸元の装飾が輝く紺のワンピースで、ギターやキーボードの伴奏にあわせ、後半は自分でキーボードを弾いて「compass」、「旅立ちの日に…」など代表曲を30分余りに渡って歌い、約200人のファンが訪れて聴き入った。さらに国定勇人三条市長とまんなかフェスにかかわった若者2人と4人でトークショーや握手会も行った。
川嶋さんは7.13水害で三条市が大きな浸水被害を受けた2004年、第8回青少年のためのコンサートに出演して被災した市民を励ましており、そのことが嵐南小の校歌制作を依頼するきっかになった。
三条市教育委員会は、この日のためにデザインが決まったばかりの嵐南小の校章を胸にアイロンプリントしたそろいのポロシャツを用意する気合いの入れよう。川嶋さんはコンサートで、台風のなか「三条市までやっとたどり着くことができました」と笑わせ、「本当にいい校歌をつくろうと思います」と話した。
国定市長はトークショーで、「若者は最初から成功しちゃだめだね」、「ずっと積み重ねてきたものがいとも簡単に崩されてしまうという経験を積まなければいけないなと、あえてきょう台風を用意させていただきました」と会場をわかせながら、この日のために何カ月もかけて準備してきた若者たちを笑いでねぎらった。
最後に三条市・有限会社マルダイの萌えキャラ「あるみさん」と「あくあちゃん」が歌を披露。会場ではオタ芸まで飛び出して盛り上がった。