三条市歴史民俗産業資料館では10月20日まで、企画展「伊勢×三条 遷宮がつなぐ技とこころ」を開いており、第62回の遷宮が行われている伊勢神宮に三条から納められた金具や、関係者以外で初めて瑞垣内を撮影した三条市名誉市民渡辺義雄さん(1907-2000)の写真などを展示し、次代に受け継ぐ三条の誇りを紹介している。
納入品に関係する展示は、和釘や霧除庇樋受など同資料館所有の20年前の1993年の第61回式年遷宮納入金具、三条工業会所有で今回2013年の第62回式年遷宮の納入金具と図面の一部のほか、小由製作所、三条製作所、鑿鍛冶田齊所有の資料や見本など計25点。
渡辺義雄さんの作品は、代表作の「伊勢神宮」シリーズ。第59回の式年遷宮で、神が移られる遷御前の新宮の撮影を初めて許可され、3回の遷宮で社殿を撮影。第59回式年遷宮時をはじめ、第60回、61回の神宮の写真10点を展示している。
また、三条からの納入の経緯などは、式年遷宮に用いる和釘と金具は従来、伊勢の神宮の地元の木造船製造業者が作ってたが、木造船の衰退とともに業者がいなくなったことで、平成元年(1989)に伊勢神宮から「金物のまち」で知られる三条へ依頼があった。
三条の業界では、和釘から始まったといわれる三条鍛冶の歴史的経緯などから依頼を受け、三条工業会内に「伊勢神宮御遷宮金具製作委員会」を組織し、第61回遷宮のため1991年に和釘約68,000本と金具24種類約13,500組を納入した。
さらに20年後となった第62回遷宮では、4年前に架け替えられた宇治橋のボルトやかすがいなどをはじめ、社殿など新しく造りかえるのに必要な和釘や金具など約28万点が三条から納められており、10月2日に行われた内宮の遷御の儀に、三条工業会も招待され、前理事長の斉藤弘文三条商工会議所会頭、兼古耕一理事長、涌井清次専務理事の3人が参列した。
同資料館によると、今回、建て替えられた神宮の建物のなかで、飾り金具以外の黒い金属のほとんどは三条から納められた金具類と思われるとしており、三条の金具類がどこに使われているのかなどを想像しながら展示をみてもらえたらと話している。
また、6日まで「燕三条 工場の祭典」に参加中の三条鍛冶道場とあわせての見学はもちろん、20年後の次の遷宮には次代を担っている小学生など子どもたちの来場もおすすめだ。
午前9時から午後5時まで開館、休館日は月曜と月末日で、月曜が祝日の場合は開館し、その翌日は休館。入館は無料。問い合わせは同資料館(電話:0256-33-4446)へ。