燕三条地域の54拠点の工場を開放する「燕三条 工場(こうば)の祭典」が2日から6日まで開かれているが、日ごとに順調に集客を伸ばしているようで、週末の5、6日の混雑が心配されるほどだ。
開放する拠点は三条市内40、燕市内14の54。平日の2日から4日までに開放するのはそのうち半分ちょっとだが、日を追うごとに集客が増えているようで、すべての企業から実績報告があがっていないのではっきりした数字はわからないが、2日目の3日は少なくとも1,000人を超えているようだ。
3日目の4日目も好天に恵まれて集客は順調だった。洋食器製造の山崎金属工業株式会社=燕市大曲=は、4、5の2日間の開放。4日は3回にわけてショールームを開放した。ノーベル賞授賞式の晩餐会で使われている同社のオリジナルカトラリーや、フェラーリもデザインしたデザイナー奥山清行さんと共同開発した洋食器、ユリ・ゲラーでも曲げられなかった最強のスプーン「コブラ」など現行の自社製品のほとんど、300点以上を常に展示している。
ショールームは海外からの取引先などとの商談用として設けたもので、ふだんは一般には開放していない。1回目の午前の開放には約30人が訪れて、美しく飾られた製品をじっくりと見学。高級品は魅力的に映ったようで、アンケートには「宝くじが当たったら買います」と書く人もいた。翌5日は午後1時から4時までショールームに加え、稼働していないが工場内も見学できる。
3日から5日までの2泊3日で兵庫県神戸市から訪れた無職の26歳男性は、ネットで“工場見学”という言葉に興味を引かれて来場。「いろいろと見せてもらってデザインがすばらしいと思った」と話していた。
独自の真空断熱技術でチタン製真空二重タンブラーなどが注目を集める株式会社セブン・セブン=燕市花見=は、2日から4日までの午前と午後1回ずつの公開。日ごとに参加者が増え、4日の午前は30人、午後は40人が参加し、同社の歴史や技術について担当者から話を聞いたあと、工場内を見学した。
参加者からは「真空度は」、「真空部分の広さは」、「チタンはどうやって発色させているのか」、「製造で難しいところや御社の技術でいちばんの特徴は」など、専門的な問い合わせも多かった。なかでも、着色は陽極酸化皮膜で本来は透明な酸化皮膜を光の干渉によって着色したように見えているといった説明には、参加者はまさに目からうろこで、「へー!」と驚きの声を上げ、米国のテレビドラマ「サンセット77」が社名の由来というトリビアにも「へぇ」の連発だった。
東京都稲城市から妻と2人で参加したHP制作などを手掛ける41歳の男性は、セラミック製品を製造する株式会社クリヤマ=三条市一ツ屋敷新田=のメルマガで工場の祭典を知った。混雑を予想して週末を避け、3、4の2日間の日程で車で訪れた。
3日は5カ所を回り、4日は同社で3カ所目。「磨き屋一番館でのビアマグの磨き体験が楽しかった」と言う。燕三条のものづくりは、研磨などをテレビで見ることがあり、「もっとこぢんまりしている会社ばかりかと思ったら、海外に商品を出していたりして思ったよりも規模の大きい会社が多かった」と話していた。
両社とも参加者の半分近くが県外からで、やはり首都圏が多いが、関西圏からも珍しくない。20代や30代、デザイン関係やクリエーターの参加が目立ち、バイヤーも参加しているようで、メモを取る人も多く、真剣な表情が印象的だ。
土曜の5日は期間中で最も多い43拠点が開放や体験、ワークショップを行う。ただ、案内所や参加企業で配布しているタブロイド判のパンフレットにあるタイムテーブルが変更になっているところもあるので、できれば訪問の前に事前に各社に確認したい。いずれにしろ、週末の5、6日はかなりの混雑が予想される。