世界の観光地を訪れて土産用スプーンを集めるようになって30年余りの松浦靖さん(78)=京都府京田辺市=の燕市産業史料館で3回目となる「世界のスプーンコレクション展 第3章」が4日から20日まで開かれており、スプーンに描かれた世界の歴史的建造物を年代順に並べて展示している。
松浦さんが収集したスプーンは世界118カ国の2,500本。同史料館では2009年に「世界のスプーンコレクション展」を開き、2012年は「世界のスプーンで見る『世界遺産』」として世界遺産が描かれたスプーンを特集したのに続き、今回は歴史的建造物をテーマに約200本を集めた。
加えて、ことし6月に訪れたモロッコをはじめ、昨年、訪れたコーカサス三国や台湾で入手したスプーン、旅先で友だちになった“旅友”から譲り受けたスプーンなど100点の合わせて約300点を展示している。
歴史的建造物の写真は、その建造物が作られた年代順に紀元前から現代まで、時計回りに壁に下げて展示。始まりは紀元前3000年から2500年ころとされるイギリスのストーンヘンジに始まり、エジプトのピラミッド、万里の長城、エルサレムのダビデ像などが並ぶ。
さらに年代が進むとローマのコロッセオ、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂、ピサの斜塔、パリの凱旋門と、世界史でおなじみの建造物が並び、小便小僧の起源ともされるベルギー・ブリュッセルの小便小僧もある。
日本の建造物は、730年の奈良・興福寺五重塔を最古に743年の東大寺大仏、1583年の大阪城、1817年の日光東照宮などがある。今では国内で記念スプーンを見かけることは少ないが、1990年竣工の東京都庁舎の竣工記念のスプーンがあるのは意外だ。
今回の展示のポスターに使ったのは、1195年に完成したドイツ・ハンブルグの聖ニコライ教会。1842年の大火で破壊されて1874年に再建されたが、第二次大戦で空爆によって再び廃墟となった悲しい歴史をもつ。そのスプーンは七宝の一種、エマイユで建物が描かれた価値あるスプーンだ。
松浦さんは「時代順に並べるという切り口は今までになかった」と言う。200もの建造物がつくられた年代を調べるのは大変な作業だったが、現役時代は同志社大学職員で学術肌の松浦さん。「それを調べるのがまた楽しくて。ネットでスプーンに描かれたのと同じ風景を見つけるのが喜び」とコレクターならではの楽しみがあり、「そんなことをいろいろ調べているうちに病気になる暇もない」と喜寿を過ぎて間もなく盛んだ。
初日4日は鈴木力市長が見学に訪れ、松浦さんの解説に聴き入っていた。6日午後2時から同史料館で松浦さんに本人よる無料の解説会が開かれるが、松浦さんは8日まで燕市に滞在し、会場に張り付くので、その間は松浦さんから名調子の解説を聞けるはずだ。
毎日午前9時から午後4時半まで開き、会期中の休館日は7日と15日。入館料はおとな300円、子ども100円、土、日曜と祝日は燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人まで無料。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666、電子メール:sangyoshiryokan@city.tsubame.niigata.jp)へ。