今の燕市吉田地区、粟生津村にあった私塾「長善館」に学んだ文化勲章受章、燕市名誉市民の古典中国文学者・鈴木虎雄(1878-1963)を調査、研究するため、筑波大学人文学類の虎雄を研究する中野目徹教らが来燕して3日から5日までの3日間、長善館史料館が保存する関連資料を整理している。
虎雄は筑波大の前身、東京高等師範学校に教授として赴任し、当時の研究資料は今も筑波大に保存され、虎雄ゆかりの大学として筑波大はその伝統を受け継いでいる。
筑波大学人文学類研究室は以前から虎雄の研究を進めており、今回は長善館が保存する資料の調査、研究のためまず整理をしようと作業を行っている。中野目教授は先に2度、来燕して約1,200点にのぼる書簡や写真などの全体像を把握。この3日間で資料整理や管理簿の作成を行っている。
参加しているのは、中野目教授と国立国会図書館職員2人を含む筑波大OB3人、福島県立文化財センター職員1人、大学院生2人、大学生12人の計18人。整理する方法にも中野目教授がかかわり、燕市教育委員会が長期保存がきく中性紙で専用の整理袋と整理カードを作成した。
作業は長善館史料館に隣接する以前は長善館の母屋だった老人憩いの家「長善館」で行い、それぞれの資料の情報を整理カードに記入し、整理袋に収納する。「くずし字用例辞典」や電子辞書を駆使し、人名を確認するために鈴木家の家系図も広げ、まるで長善館の塾生のように畳に座って資料と向き合っている。
今回の作業では資料全体の半分、600点ほどを整理できそう。4日は鈴木力市長と上原洋一教育長が訪れて中野目教授らを表敬し、激励した。
これまで調べた資料について中野目教授は「想定の範囲内」としながらも、「明治時代の写真には見たことがないものもいくつかあった」と言う。また、授業では古い文書はコピーを配布して読みくだしを行っており、「実物を読むということは歴史を勉強している醍醐味を味わえる」と喜んでいた。