2日から6日まで行われた「燕三条 工場の祭典」。想像をはるかに上回るおもしろさや反響に、工場をあちこち見て回ろうと思ったが、仕事が忙しくてどうにも回れない。土曜の5日は時間をやりくして、ほかの仕事の合間を縫って54拠点のうちいくつかを回った。
週末に来場者の殺到が予想された鎚起銅器の燕市・玉川堂に行くことにした。前日、ナーセリーやガーデニング、ハーブでおなじみの燕市・ハーベストの奥さんとたまたまコンビニ店で出くわしたので、玉川堂へ行く前に立ち寄った。
ハーベストでは毎日早朝、午前7時から見学と500円のハーブティー体験。ハーブティーは、すぐ足元や鉢植えに育つハーブの葉20枚足らずを摘んでティーポットに湯とともに入れ、3分たてばできあがりだ。
ハーブはレモンバーベナ、ペパーミント、アップルミント、レモングラスなどがある。抽出されたハーブティーは透き通った緑色で、さっそくいただくと何ともさわやかな味。日ごろのジャンクフードで蓄えた毒素が抜けていくようだ。
軽井沢から訪れたキャンプ場のスタッフもいたと言う。工場の祭典では異色の存在だが、1日10人足らずが訪れ、のんびりした時間を過ごしていくと話していた。
身も心も軽くなって玉川堂へ。予想通りのにぎわいで、この日だけで200人を超す来場があったと言う。最初に鎚起銅器や玉川堂の歴史や技術を話したあと仕事場を見学してもらった。説明しているのは見た顔が。初めて見る作務衣姿の彼は「番頭の山田です」。工場の祭典の実行委員会の中心メンバーでもある山田立さんだ。“番頭”とは何ともいい響き。さすが!と感心しながら流暢な説明に聞き入った。
一方、作業場では、ぐい呑みの製作体験。職人が手取り足取りで指導し、職人たちに負けないくらいの集中力で黙々と鎚をふるい、火のなかにぐい呑みを入れて真っ赤に。職人技の醍醐味を十二分に味わっていた。
また、運よく玉川堂を訪れた新潟ガールズ集団Lily & Marry's(略してリリマリ)に遭遇した。リリマリは新潟女子の意識改革と女子目線での地域活性化を目指すガールズプロジェクト。新潟代表するモデル今井美穂さんをはじめ約70人のメンバーの中からマアヤさん(23)と氷浦紫(ひうら ゆかり)さん(30)の2人が参加し、5日は工場の祭典の会場5カ所を回り、見学してもらった。
工場の祭典で見聞きし、体験したことをSNSやブログで発信して、違ったチャンネルで工場の祭典をPRしようという企画。燕三条Wingに続く2カ所目の見学先が玉川堂で、ピンクの斜めのストライプがやけに似合うタブロイド判の大きなパンフレットを手に工場内を見学していた。
そこから遠くへ行く時間はなく、金属加工の現場はふだんの取材でも見学することが多いので、それ以外の場所をと、木工体験ができる三条市・角利製作所へ。かつお節削り、まな板削り、自由工作などを行っていた。
見学者の解説にあたった角利産業の加藤睦宏副社長にとって見学者は予想以上に多かった。ほとんど来場者はないと踏んで終日、見学者を受け入れたが、ふたを開けると毎日25人ほどが来場。見学の時間を決めていればどうということはなかったが、見学時間をフリーにしたため、1組の見学者の案内が終わると次の見学者が待っているという具合で、ろくに休み時間もとれない忙しさだった。
思わぬ大仕事になったが、鉄と木とプラスチックでコラボしようという話や大手のホームセンターチェーンのからの来場者もあり、「とてもいいイベントですよ」と一般の消費者から喜んでもらい、実利につながる部分もあって喜んでいた。