三条市は15日、三条東公民館で商品開発のワークショップを開き、赤ちゃんとママのための通信販売「たまひよSHOP」の商品開発担当者と全国で活躍する商品開発や販売戦略のエキスパートの2人がディスカッション形式で売れる商品づくりについてミニセミナーと商品評価を行った。
講師は株式会社ベネッセコーポレーションのWoman&Family事業本部たまひよ事業部課長の糸藤友子さんと中・四国と兵庫県などの産業振興専門家も兼務し、新商品開発、販売戦略で全国的に活躍する奥谷商売研究所=岡山県岡山市=代表の奥谷敦子さん。2人ともかつてリクルート社で働いたという接点もある。
糸藤さんは「妊娠から子育て中のママの買い物意識〜ベネッセ通販で売れているもの〜」、奥谷さんは「売れる商品にするためのポイント」をテーマに据えて話を進めた。
糸藤さんはベビー向けの市場規模から話した。国内では1年に103万人が赤ちゃんを生み、その8割と何らかの接触をもっており、「たまひよSHOP」は延べ175万部を発行している。
通販ではメード・イン・ジャパンを増やしたい、価格ではどんどん勝てなくなっているので品質やブランドで勝負したいと思っている。この5年くらい商品開発が難しく、消費者がわがままになっていると感じている。「安心、安全が日本のキーワードだと思っている」と日本のものづくりに期待する。
中国製や百均でいいと思っていたのが、妊娠、出産で赤ちゃんのために物を選ぶ価値観が変わり、そのマーケットがスイッチするタイミングがひとつの狙い目とし、実際に「たまひよSHOP」で売れている商品の事例と売れるポイントを説明。また、実際に燕市内の企業と重いプラスチックで作った食器を開発したことがある。
「ターゲットをしっかりしぼってそのニーズをしっかりくみながら商品を開発すると、きちっとした売れるものが作れる」とした。
一方で奥谷さんは、糸藤さんの話のエッセンスを一般論として持論を交えて展開。こだわりを横軸、価格を縦軸にしたマトリックスから消費志向をプレミアム、利便性、安さ納得、徹底検索型と分類。「自社の商品特徴や今、売れている層がどこかわからないと次の戦略が打てなくなる」とまず分析を求めた。
バイヤーやマーチャンダイザーが見るのは、バランスやサイズから、デザイン、パッケージ、利便性、トレンドなどで、意外と価格は優先順位が低い。
40代、50代の女性が狙い所で「そこを確実に狙いにいくのがメーカーとしてはいちばんの近道」。商品は消費者へのラブレター。商品をどんなところで誰に使ってほしいか、それに肉付けして販路を増やしていく。
商品の見てくれは大切で、消費者は商品を見て瞬時に価格を予想し、価格が予想より高ければ買わないし、安ければ買う。「また三条に来て、いろんな宝探しをさせていただきたい」と三条のものづくりに期待した。
メーカーの開発担当や自営業者ら50人近くが参加した。1時間足らずのミニセミナーだったが、「ここだけの話ですが」と前置きして踏み込んだ情報や、どんな商品開発の現場でも役に立つアドバイスもあり、「いい話を聴かせてもらった」と喜んで帰る参加者が多かった。
このあと、奥谷さんは希望したメーカー6社を対象に個人面談で商品評価と取引をするためのアドバイスを行った。