第11回全国門前町サミット in 弥彦で“知の巨人”、“伝説の編集者”とも呼ばれる松岡正剛さんによる基調講演に千人来場 (2013.10.29)

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28、29の2日間、弥彦村で「第11回全国門前町サミット in 弥彦」が開かれており、28日は“知の巨人”、“伝説の編集者”とも呼ばれる編集工学研究所所長でイシス編集学校校長の松岡正剛さんによる基調講演が行われた。

「第11回全国門前町サミット in 弥彦」で28日、基調講演を行う松岡正剛さん
「第11回全国門前町サミット in 弥彦」で28日、基調講演を行う松岡正剛さん

松岡さんは1944年、京都生まれ。工作舎設立、オブジェマガジン『遊』編集長、東京大学客員教授、帝塚山学院大学教授を経て、編集工学研究所所長・イシス編集学校校長に就いた。情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトに携わる。日本文化研究の第一人者で、数多くの私塾を開設。09年から12年、丸善本店でリアル書店のパイロットショップとして「松丸本舗」を展開し、著書は『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』など数多い。

彦小学校4年生による燈籠押し
弥彦小学校4年生による燈籠押し

会場の弥彦総合文化会館は1,000人の来場者でいっぱいになった。弥彦小学校4年生による燈籠押し、弥彦中学校3年生による木遣りと樽太鼓、重要無形民俗文化財の舞楽で天犬舞、大々神楽「陵王」も特別披露された。

舞楽で天犬舞、大々神楽「陵王」
舞楽で天犬舞、大々神楽「陵王」

テーマは「結びと日本人〜縁起のネットワーク〜」。第一部は松岡さんがことし7月まで2年間にわたって『週刊ポスト』に連載した「百辞百物百景−コンセプト・ジャパン100」に基づいて話した。

日本は神仏習合であり、日本の神を代表する言葉は「結びの神であるということ」。水引、横綱、結納も結ぶ。結ばれた神の力が生まれ、運が生まれて、運試しも大事になる。日本は多神多仏で、日本の神は移動し、迎える。いろんな縁の物語に基づいて結んでいく、縁結び。

『週刊ポスト』に連載した「百辞百物百景−コンセプト・ジャパン100」の紙面をプロジェクターで映しながら講演する松岡さん
『週刊ポスト』に連載した「百辞百物百景−コンセプト・ジャパン100」の紙面をプロジェクターで映しながら講演する松岡さん

ほかにも代(しろ)の大切さ、女の紅と男のいなせやきっぷ、とうやさん、瑞穂国、不立(ふりゅう)文字、菊の国などに次々と話を進めた。途中でステージに供え物を飾った十日町市出身の室礼研究家、山本三千子さんをステージに上げて紹介した。

ステージに供え物を飾った十日町市出身の室礼研究家、山本三千子さん
ステージに供え物を飾った十日町市出身の室礼研究家、山本三千子さん
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弥彦中学校3年生による木遣りと樽太鼓

第二部は、地元のキーパーソンをまじえたトークセッション形式。弥彦神社氏子青年会の羽生雅克会長、陵王を舞った弥彦神社の増子喜之権禰宜(ねぎ)、弥彦酒造の大井源一郎専務、ガールス競輪の2人の選手、3人の芸妓、2人の中学生、そして大谷良孝村長を順にステージに上げて弥彦の魅力や課題などを聞いたあと、最後に松岡さんがまとめを話した。

左が中学生、右が弥彦神社氏子青年会の羽生雅克会長
左が中学生、右が弥彦神社氏子青年会の羽生雅克会長
 大々神楽「陵王」を舞った弥彦神社の増子権禰宜
大々神楽「陵王」を舞った弥彦神社の増子権禰宜

日本の国力、国益を考えると、子どもたちをもたない限りはこの国は続かない。日本はいくつか少子化の歴史にさらされてきた。安倍首相などが日本の歴史は神々の歴史と言うが、「本当にどういう物語をわたしたちがもたなければいけないか、誰も真剣に考えていない」。

竹取物語、桃太郎、花咲かじいさんの登場人物が親ではなくおじいさんやおばあさんであることを例に、「おじいさん、おばあさんが子どもをほしがるくらい(子どもが)大事な時期もあれば、今度は米がとれなくて飢饉(ききん)になり、おばあさんを山に捨てざるを得ないような年もあった」。

弥彦ガールズ競輪の2選手
弥彦ガールズ競輪の2選手

根本的な結びのエネルギーがないと結局、日本の経済、文化、社会を外のレギュレーションに頼る。「その代表のひとつがTPP」で、「これは中の力ではない。それを受け入れればその分だけもらえるみたいなことがTPP」だが、「そういうものもあってもいいが、中の物語をもたなきゃいけない」。

日本は小ささが大切で、日本の美はショートカット。長歌がなくなって和歌になり、連歌になって、それをまた割って俳句にする。長袖が小袖になり、たんすがカットして運べるように長持になった。カットするサイズを間違えるとだめで、上からカットすると小選挙区のようになる。これを下で大事な単位を決める。弥彦村はそうして合併しなかった。

弥彦芸妓も
弥彦芸妓も

新渡戸稲造はショートカントリーやスモールカントリーが大事と言った。内村鑑三は日本のキリスト者は中江藤樹であり、上杉鷹山であり、二宮尊徳であり、西郷隆盛であったと、日本の神なる心をもつ人はキリスト者に匹敵すると言い続けた。

今、日本はいろんなものを失っているかもしれない。これを増やすのがひとつ。もうひとつは、これを失っている間に小さいこと、ショートカットしたもの、自分の手元にまだ残っているものに目を向けてもう一度、取り戻さなければいけない。

大谷村長
大谷村長

門前町にはいろんな宝物が潜んでいる。宝物殿に置いておいても、写真だけにしてもだめ。「そこに生きた人が登場し、新たなきずなのネットワーク、結びのネットワーク、縁起のネットワークにしていただきたい。弥彦村ともども全国の門前町、頑張ってください!」と締めくくった。

松岡さんはとても69歳とは思えない若々しさでステージの上を歩きながら話した。トークセッションの出演者の名前もすらすらと口にし、たびたびジョークをまじえて会場を笑わせ、「AKBややりーぱみゅぱみゅちゃん」という言葉も飛び出し、今どきの情報にも明るい。また、TPPについては繰り返しふれて警戒感を示していた。

最後にまとめを話す松岡さん
最後にまとめを話す松岡さん

また、トークセッションのなかで大谷村長は、2年前に松岡先生に会い、福島県の柳津町長から次の門前町サミットの会場に弥彦村をと頼まれたとき、「松岡先生が講演を引き受けてくれるのであればわたしは決断をしましょう」とひとつだけ条件を出したことを明かした。

このあとは記念式典、交流レセプションが行われた。翌29日は午前9時から弥彦温泉街をヤホールから弥彦神社に向けて初めての初穂曳きが行われる。

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