旧燕市の商店街のシンボル的といえるサンロード宮町のオーバーアーケードの解体工事が5日に着工するのを前に、宮町商店街振興組合(鈴木雅一理事長・加盟約30店)は、3日から5日まで商店街に先に開いた「感謝のビアガーデン祭り」で市民がオーバーアーケードへの感謝の言葉を書いた書道パフォーマンスの作品を展示している。
同組合は、オーバーアーケードとの別れを機に商店街を愛してくれた市民に感謝し、オーバーアーケードを記憶にとどめてもらおうと9月22日、オーバーアーケードの下を会場に「感謝のビアガーデン祭り」を開いた。
ビールをはじめ飲食をサービス、販売するとともに、つばめ若者会議の有志でつくる「わかめるしぇ」のメンバーが中心となって手作りのイベントを行って市民に楽しんでもらった。そのイベントのひとつが書道パフォーマンス。筆や墨、絵の具と幅1メートル余り、長さ約4メートルと約2メートルの大きな紙を用意し、来場者から自由にアーケードへの感謝の言葉をいてもらった。
思いのほか大勢の人が参加してくれた。“作品”をそのまま捨ててしまうのはしのびないと保管し、紆余曲折があってようやく解体工事の着工が決まったことから展示することになったもの。オーバーアーケードに入ってすぐ左手の、シャッターアートが描かれている塩吾商店のシャッターに張って展示している。
当日、皮切りで書いたのは鈴木力市長で、「三十六年ありがとう」。続いて宮町自治会長竹井満喜子さんが「雨の日も風の日も庁内の人を守ってくれてありがとう!」。ほかにも「想い出いっぱい」、「サンロードありがとう」、「大スキー」、「愛してます」。かつて商店街にあった「マミーストア」や「赤ちゃん堂」といった懐かしい店舗の名前もあり、狭い空いているスペースにも顔やツバメ、スマイルマークなどが描かれ、見事なコラボレーションアートにできあがっている。
展示初日の3日は、オーバーアーケードの下を中心に三・八の市が開かれた。着工前ではこれが最後の市。着工日が決まったことで露店を訪れる市民の話題も解体工事に関してのことが多かった。
商店街の店で働く人は、「工事が始まるっけ、おわちの社長も写真、撮ってた」。露店を出す人は、オーバーアーケードが無くなったら「お客も来てくんねなる」と客足の減少を心配。今は屋根付きなので、商品を道路や台に並べればいいが、「アーケードがねーなったら、テント張らんばら」と言い、テントを張る人手を確保できずに「(出店を)やめる人も出っろね」。
客は「新鮮だし、安いし」と市の魅力を話せば、出店者は「これも時代の流れら」と寂しそうだった。