三条市本町2、真宗大谷派三条別院では5日から8日まで「お取越(おとりこし)」として親しまれる報恩講が行われている。ことしも7日までの3日間は参道周辺で露店市が店開きしているが、植木を販売する出店は無く、植木市の歴史が途絶えた。
浄土真宗の開祖、親鸞聖人の命日11月28日にかけての7日間、京都の本山で報恩講が行われる。それに先立って、全国各地で「お取越」の報恩講が行われている。
三条では、昔からお取越の時期にあられが降るなど、冬に向かう荒れ模様の天気になるといわれているが、初日5日は最高気温16.8度の穏やかな陽気だった。
露店は、クレープやべっこうあめ、チョコバナナ、から揚げ、たこ焼きなどを売る49店が出店。午後から店開きし、日中は親子連れや小学生が訪れていた。
また、近年、三条市歴史民俗資料館前に出店していた植木業者の出店は、昨年の2件から減って0件に。少なくとも半世紀以上続いた植木市が途絶えた。
植木市の始まりは定かではないが、「三條市史資料第1集」(昭和29年発行)によると、「お取越」は「八幡様の春祭りと共に二大行事の祭りである」と旧幕時代の記述がされているなかで、「色々の物売りが出たし、二ノ町は植木屋が並んだ」、「とても大量の植木で、街に庭が出来たよう」、「夜分子供等がよくこの植木の中にもぐって隠れ鬼なぞをやった」と記されており、明治のころには大規模に植木が売られていたようだ。
ちなみに21年前の1992年の出店は雑貨90、植木も35もあり、計125店。雑貨でも当時の半分近くまで減ったことになる。
三条市では、例年通りの出店を見込んで電線を仮設したが、この日の出店の申し込みはなかった。毎年、植木市が並んだ歴史民俗資料館前を通りかかった近所の人は、植木の出店がないことを聞き「ことしはないの、寂しいね〜」と話していた。