燕市内で起業を考えている人たちをサポートし、必要な知識を学んでもらおうと燕市は24日、第1回の「みらい起業塾」を開き、受講生22人で起業に向けた勉強を始めた。
11月から来年2月まで入門編、5月から8月まで実践編に分けて月1回で4回ずつの計8回コース。第1回はジャイロ総合コンサルティング=東京都中央区=の大木ヒロシさんによる講演と、中小企業大学校三条校の中小企業診断士・赤塚純一さんをコーディネーターに大木さんと燕市観光会事務局の七里圭子さんによるトークセッション「燕市の魅力大発見!」を行った。
大木さんは、フランチャイズチェーンを複数立ち上げた経験をもち、年間の講演回数は200回を越える超人気講師。経済環境や社会環境から今が起業のベストタイミングであること、失敗しない起業のひけつ、自己の強みをビジネスに生かす方法、好きなことを仕事にして成功するときのカギ、ランチェスターの法則を基礎にした差別化と地域戦略などについて話した。
「商店街の減少は地域の人口の減少より幅が大きく、必ずそこにはすき間が生まれる」、「思い出が売れる時代」、「今は資金ゼロ円で開業できる時代。みんな頭が堅すぎる」と起業のヒントがいっぱい詰まっており、豊富な実例をふんだんに交えた大木さんの講演は説得力抜群。一人ひとりに訴えるような話しぶりでぐいぐいと話に引き込み共感を呼んだ。内容はもちろん、大木さんの“熱さ”も伝わり、自然と起業のモチベーションも上がっていた。
大木さんは日帰りでの来燕だったが、開講前に市内の燕、吉田、分水の3地区の商店街などを駆け足で見て回り、そのようすを軸に3人で話した。
市内で暮らす七里さんは「日々の買い物は何も不自由していない」、「逆に“食”は自慢できるくらい」と地元商店街の魅力を高く評価。大木さんがお出かけ用の服はと質問すると、七里さんは東京へ行ってまとめ買いしていると答えた。東京出身の赤塚さんも「飲食は絶対に東京には負けない」と強調した。
大木さんは“shop”と“store”の違いを紹介。“store”は商品を並べるだけの店で、それでは大きな店とは勝負できず、売るだけではないサービスを提供する“shop”を目指すよう求めた。
七里さんはイベント会社で働いた経験から、商店街への新規出店は、既存店との関係が大切で、良好な関係が築ければ、既存店が客になってくれるとした。大木さんは、小さく生んで大きく育てるには、小さな付加価値をつけ、ネットで実験することも有効で、社会性のあるビジネスにも注目するよう求めた。赤塚さんは地域らしさ、自分らしさの表現を提案した。
受講生は30歳代の女性が中心で、過半数は具体的に起業を目指しており、起業について勉強してみたいという人やすでに起業していてレベルアップしたいという人もいる。起業したい業種は、カラーセラピー、整体、スナック、カフェ、手作り雑貨、ペットシッターなど。
店舗デザイン、資金調達、ビジネスプラン作成など実務のほかに、トークセッションをまじえたり、事業アイデアの発想法を聞いたり、新潟市・上古町へ店舗視察を行ったりと肩の凝らないモチベーションの上がる内容を多く盛り込んだのが特徴だ。