見附市文化ホール「アルカディア」で25日、「スマートウェルネスシティシンポジウムin見附」が開かれ、430人が来場して見附市が取り組むスマートウェルネスシティ(健幸都市づくり)について学んだ。
スマートウェルネスシティ首長研究会を発足した筑波大学大学院の久野譜也教授が「スマートウェルネスシティの実現を目指して」をテーマに基調講演、バルセロナ五輪ファイナリストで北京・ロンドン五輪陸上競技日本選手団監督の高野進さんを講師に「オリンピック選手を育てる!その気にさせる高野流育成術」のテーマで講演会のあと、シンポジウムを行った。
シンポジウムは久野教授がコーディネーター、高野さんと国定勇人三条市長、久住時男見附市長、市民代表の広井信彦さんの4人をパネリストに行った。
まず国定市長は三条マルシェの成功と、それだけでは高齢者の外出を促す効果が足りないこと、定期市と全天候型の広場の建設計画などの取り組み、久住市長はウオーキングコースの設定、まちづくりハード、平成27年度までに中心地に銭湯の建設、健幸クラウドなどの取り組みについてそれぞれプレゼンテーションした。
そのうえで久野教授は、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)、人と人とのつながりは健康にも影響することがわかってきたことを紹介。広井さんは住んでいる葛巻小学校区の葛巻地区まちづくり協議会で、見附市の生ごみが消えるプロジェクトに取り組み、生ごみの日を設けて生ごみを燃えるごみと分別収集し、地域の豊かさや見附市全体の幸せ度を上げる取り組みを続けていることについて話した。
国定市長は、生ごみが消えるプロジェクトが“継続”されている地道な活動を高く評価。一方、三条市では中山間地ではコミュニティー力が高いが、住んでいる人は好き好んでコミュニティー力を上げているわけではなく、近隣の目などがそうさせている側面がある一方、そうしないとコミュニティーが継続できないと分析した。
高野さんは、働くことが幸せで生涯現役でいたいとし、昔はおばあさんしかできないことがあったが、最近は情報化社会もあってお年寄りは「戦力外通告になってしまうことがいちばん問題であって、むしろドル箱にこれからなっていっていただかねばならないのが高齢者」と、その役割に期待。「運動しましょうなんて言う前にちゃんと自分で仕事して健康になってお金を稼ぎましょうというのができればいちばんいい」。
広井さんは「まちなかのにぎわいの創出と商店街の活性化は密接に関係しているがイコールではない」、商店街に出てきた客をどうやって個別の店に入ってもらうか、個別の店がどうやって迎えるかを自分自身の問題として取り組みたいと話した。
幸せを感じるのは、ほめられること、必要とされること、役に立ってる、地域で愛されているということで、「そういうことが感じられる空間をどう作っていくかになる」、見附は75歳からを高齢者と呼びたい、健幸をキーワードにしたまちづくりをしたいとした。
国定市長は、長寿社会という人類始まって以来、初めての未知の領域に足を踏み入れつつあり、それは「まったく違う価値観を用意しないと乗り越えられない」、「高齢者がまちの主役であり続け、その方々の活動によってさらにまちが持続的に活性化をしていくというような価値観に転換を図っていかなければならない」との考えを示した。
三条でアンケートをとったら、ひとりでご飯を食べている人が多いことがわかり、それなら外に出て食べればいいと発想を転換。アジアではごく当たり前に外食文化があり、長寿社会のなかで新たに文化として創出すればいいと訴えた。
「ありがとうという精神がコミュニティーにとっては必要」で、二人の市長の話から「愛とか感謝とかいう言葉がぴったりという印象を受けた。この話を持ち帰り、自分自身と周囲で共有できれば」と話した。
久野さんは高齢化で自立度が大きく落ちるのを防ぐには大腰筋が必要であることがわかっており、それは20年以上前に久野さんが高野さんのMRIを撮らせてもらったときに大腰筋が速く走るために必要な筋肉であることがわかったことを話した。直感的に高齢者が元気でいられるために必要な筋肉と思って研究したら、その通りであることがわかり、それがこの日、スマートウェルネスシティで高野さんと一緒になっていることに運命的なものを感じると話してシンポジウムを締めくくった。