三条市は11月30日、東日本大震災の影響で同市に避難している人の一時帰宅支援ボランティアを行い、市民など19人が福島県南相馬市小高区の住宅の片づけ作業などのボランティア活動を行った。
10月9日に続いて2回目の事業。三条市をはじめ、燕、長岡、新潟、阿賀野から20歳代から70歳代の19人が参加し、うち6人が前回に続いて参加した。
三条市のマイクロバスで南相馬市小高区まで5時間余りを日帰りした。活動先は、三条市で避難生活を続けている人と、以前に三条市に避難していて今は福島に戻った人の8世帯の住宅。全国各地から集まったボランティアとともに家財道具など不用品の搬出、庭木の伐採や草刈り、室内清掃などの作業を行った。
庭木の伐採や家財道具など不用品の搬出を依頼した今野タカさん(87)は、前回10月のボランティア活動のときに初めて自宅に戻り、今回が2回目。ガラスが割れ、家の中が荒らされたり盗まれたり、人が寝ていた気配があるなどしたという。家の片づけ作業をしてもらい「本当に助かります。一生懸命やってもらって」と感謝していた。
前回のアンケートなどから、避難者の人には被災状況や現状を知ってもらいたいという思いがあることがわかり、今回は車中からボランティアに被害状況の説明も行われた。
南相馬市小高区は福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内にかかり、昨年4月から避難指示解除準備区域となり、日中の立ち入りはできるようになったが、今も宿泊はできない。
この日午前4時、一時帰宅支援事業で小高区の自宅に帰宅し、今回、ボランティアを依頼した人たちを乗せたワゴン車とともに三条市総合福祉センターを出発。三条からの雨は、県境付近で雪に変わり磐梯山SAでは積雪、太平洋側に近づくにつれて青空が広がった。
高速道路を降りた川俣町「道の駅川俣シルクピア」から、三条市に避難している佐竹紀さん(73)=南相馬市小高区=がバスに同乗し、これまでの避難生活やボランティア参加への感謝を述べるとともに、除染作業が行われている飯館村や南相馬市の状況などを車内で説明、午前9時ころに原町区の南相馬市役所に到着した。
佐竹さんと交代で、三条市に避難して今は南相馬市に戻った橋本尉記さんが乗車。橋本さんは、津波で流されたという自宅付近を含め、津波や地震の被害がいまだに残る小高区の被災状況や現状を車中で説明した。
土台だけの住宅跡、1階が骨組みだけの住宅、田んぼの中にアルミ缶のようにくしゃくしゃになった車や船がいまだに残る津波被害にあった地域、余震も含めた地震被害で屋根にブルーシートがかけられたり、崩れた木造の建物や塀など震災から2年8カ月以上が経っているとは思えない生々しさだった。津波の状況や被災状況の光景を見ながらの話に、車中は「は〜」とため息の連続だった。
小高区役所前の小高区社会福祉協議会会館に設置された南相馬市ボランティア活動センターで、松本光雄センター長に放射能の状況など小高区でのボランティアについて聴いたあと、数班に分かれて割当ての活動現場に向かった。午後4時に作業を終えてボランティア活動センターに集合して帰路に着き、午後9時45分に三条市総合福祉センターに到着。再び、佐竹さんと市担当者が感謝の言葉を述べて解散した。