東浩紀氏や津田大介氏の共著による『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』がことし7月、出版された。ダークツーリズムとは被災地や戦争跡地などを観光地化するもの。両氏はそれに執筆に先だって、1986年に原子力事故を起こした現ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所をたずねた。
チェルノブイリではダークツーリズムが定着している。あまり知られていない言葉だが、日本の広島平和記念公園もそのひとつ。被災地を見世物にするとまゆをひそめる人もあるが、ダークツーリズムがもたらすのは学びの手段。そして同書は11月出版の『福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2』へと続き、福島第一原発をダークツーリズムとして観光地化するよう提案する。
随分、遠回りしながら一気に身近な話になるが、一見、マイナスに思えることも、見ようによってはプラスに転換できるのではないかという方向に無理矢理を話をもっていく。ターゲットは、燕市のサンロード宮町のオーバーアーケードの解体工事だ。
オーバーアーケードが消えることを悲しみ、寂しがる市民は多い。みるみる解体が進むオーバーアーケードに時代の終焉を投影させてため息をついてしまうかもしれない。しかし、泣いても笑っても日一日とオーバーアーケードの解体は進む。それならいっそのことを楽しんじゃおうと言いたい。
爆破によるビルの解体ショーが盛んに行われていた時代がある。マグロの解体とは言わないが、建造物の解体だって立派なショーになる。とは言っても、サンロード宮町の解体は地味ではないかという人もあるだろうが、これが意外とおもしろい。建設に比べると解体のスピードは断然、速い。2、3日たっただけで、はっきりと進ちょくの変化を確認できるほど速く、なかなかの見ものだ。
車道は通行止めになっているものの、商店街の歩道の通行はほぼ確保されているので、ほとんどの商店がふだん通り営業している。つまり、商店街に買い物へ行ったついでに、最初で最後のサンロード宮町オーバーアーケード解体工事の進み具合を自分の目で確認して記憶にとどめることができるというわけだ。
1週間ほど前にパンを買いに寄ったホームベーカリー中村屋は、会計が順番待ち。商店街の店舗は、解体工事が始まってから客足が遠のいたのは間違いないが、意外と元気な印象。商店街で買い物をすれば、もれなくオーバーアーケードの解体ショーを目の当たりにできる。見逃すな!。