「成人の日」の13日、燕市・吉田地区老人クラブ連合会(栗林大策連合会長)はシニアセンターよしだで恒例の熟年成人式を行い、還暦の60歳からから数えて20年になった満80歳の会員を対象に2回目の成人と長寿を祝った。
昭和8年(1933)から同9年4月1日まで生まれた会員、男21、女52の73人のうち、男11、女38の49人が出席。スーツや和服の胸に紅白のリボンを付け、晴れやかな笑顔があふれた。
最初に記念撮影を行ってから式典を行い、国家斉唱に続いて栗林会長が式辞。栗林会長は、「老人クラブ活動をいっそう活発にすることが大切」で、それが「介護予防になり、健康寿命を延ばしていくものと考えている」と、老人クラブでの活躍に期待した。
祝辞で鈴木力市長は、対象者が成人式を迎えた昭和28年はテレビ放送、紅白歌合戦が始まった時期であり、今までの社会への貢献に感謝するとともに、「皆さま方がこれまで積み重ねてきた経験や知識をわれわれ若い世代に教えていただきたい」と求め、健康に留意して「必ずやもう一度、東京五輪を見るぞということで頑張ってほしい」と求めた。
熟年成人者記念品を代表者の渡辺良さん=燕市富永=に贈呈、熟年成人者で平原厳一さん=同市米納津=が謝辞。平原さんは戦中、戦後の暮らし、燕市の洋食器産業の隆盛、高度成長、上越新幹線と関越自動車道の開通など生きてきた80年の時代背景を振り返った。
そして、「60年前には想像できなかった生活ができている現在まで、良き次代を生き抜いてこられたことに感謝」し、「これからも恵まれたふるさとで1日1日を大切にして健康、長寿を心掛け、働けるうちは働いて、わずかながらでも恩返しをさせていただきたいと願っている」と話して閉式。祝賀会に移り、酒を酌み交わしながら同センターで行われている大正琴、民謡、詩吟などの教室の受講者による出し物を楽しんだ。
「へー80歳になったと思うて」と時間の過ぎる速さをかみしめていたのは、星野省作さん=吉田鴻巣=。「もう2、3年、生きられるか」と笑った。今もゲートボールなど運動に励み、今も薬ひとつ飲んでいない。「1日1日、人生を朗らかに暮らしたい」と話した。
弥彦村で生まれ育った池内澄子さん=吉田下中野=は「また、はたちみたいな気分」と熟年成人式に出席できたことを喜び、80年の人生は「いろいろありましたけど、良かったです」。車に乗ったり、いろんなものを食べたりできていい世の中になり、「ひつぎの中に入るまで健康でいたい」と笑った。
熟年成人式は、戦時中で成人式が行われなかった世代の人たちから、60歳で年齢をリセットして20年目の80歳であらためて成人式に参加してもらおうと、合併前の旧吉田町の時代に始まった。今の対象者は、若いときにも成人式があったので2回目の成人式となり、当初とは意味合いが異なっているが、毎年、続いている。