20日からの全国学校給食週間にあわせて燕市教育委員会は23日、燕市立燕東小学校(外山健蔵校長・児童248人)で給食感謝のつどいを開き、昨年、燕市内の学校給食用スプーンを共同開発した金属洋食器製造販売の広瀬金属株式会社=燕市南3・広瀬昇社長=と洋食器などステンレス製品の製作工房の有限会社ニシムラ=燕市朝日町・西村康雄社長=に感謝状を贈り、開発したスプーンで児童と一緒に給食を味わってもらった。
両社から広瀬社長と西村社長が来校し、上原洋一教育長から燕ジュニア検定のマスコット「つばけん博士」をデザインした感謝状をそれぞれに手渡したあと、3人で1年生の配膳のようすを見学し、6年生の教室で児童と一緒に給食を味わった。
燕市は今年度、給食センターを統廃合するのを契機に「学校給食用食器・備品の共同研究事業研究会」を設立し、学校給食用スプーン、スタッキングカート、配膳台の開発を進めた。学校給食用スプーンは広瀬金属が企画、販売、ニシムラが製造を担当して共同開発し、市内21小中学校すべてに合わせて1万本を納入。昨年7月から学校給食に使っている。
開発したスプーンは、長さ172ミリ、重さ32グラムのステンレス製。大きさは子ども用だからととくに小さくはしていないが、皿の幅は細めにし、肉厚を薄くして一般のスプーンより2割ほど軽量化を図った。
衛生面から装飾などの凹凸はないが、滑らかな曲面が美しい。ニシムラが20年ほど前から手掛けている「めんと〜る」という加工で皿の縁をプレスで面取りしているため、皿に載せたものが皿の縁に引っかからずに滑らかに口の中に流れ込む。皿の厚さ1.05ミリは、その加工を施すために必要な限界の薄さ。
薄くしたたために、スプーンで食べ物を切りやすく、薄さのおかげでスイカの実をすくい取る作業は驚くほどスムーズになったという。柄が曲がりにくいように皿に近い部分は柄の幅を広げるといった工夫も。広瀬社長と西村社長は、市教委の栄養士らと何度も打ち合わせて試作を繰り返した苦労話をしていた。
給食では、児童からは「開発にいちばん苦労したところは?」、「今までいちばん作るのに苦労した製品は?」といったあらかじめ用意していたと思われる質問から、「好きな酒の種類は?」と脇道にそれる話もあり、会話を楽しみながら学校給食用スプーンで給食のひよこ豆入りドライカレー、ブイヤベース、カリポリサラダなどを味わった。このスプーンは燕三条県央地域地場産業振興センター業振興センターでは、通常より30円安い1本350円で販売している。