鈴木力燕市長は29日、定例記者会見を行い、燕市と弥彦村で燕・弥彦地域定住自立圏の取り組みの開始に向けて中心市宣言を行うことなど6項目を発表した。
定住自立圏構想とは、人口5万人ていど以上の「中心市」の都市機能と「周辺市町村」の魅力を活用して、相互に役割分担し、連携、協力して地域住民の命と暮らしを守るため、圏域全体で生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策。2009年4月から全国展開し、各地で取り組みが進んでいる。
定住自立圏となるには中心市宣言を行うのが要件で、全国では昨年9月30日現在、87市が中心市宣言を行っており、県内では長岡市と糸魚川市が宣言している。
燕市では、観光でつながりの深い弥彦村に声をかけて定住自立圏の取り組みを始めるもので、市村の枠を超えた広域的な取り組みや行政と民間の連携、役割分担を通じて、それぞれの強みを生かし、弱みを補完し合いながら地域全体の活性化を図る。
具体的には観光振興、地域医療、公共交通などで連携、協力、役割分担し、住民の生活機能の強化、地域の魅力向上により、定住促進、地域全体の活性化を図る。
定住自立圏域には、燕・弥彦地域の場合は年に特別交付金が最大で燕市3,000万円、弥彦村1,000万円が交付され、燕・弥彦地域定住自立圏に伴う事業費に充てる。
この日は午後4時から燕市役所で中心市宣言を行い、鈴木市長が中心市宣言書を読み上げ、弥彦村の本多啓三副村長があいさつ。本多副村長は、「高齢化社会で公共交通の確保、整備は弥彦村にとって長年の課題であり、圏域の課題でもあった。このたびのご縁を両自治体のさらなる深い深い結びつきを祈念する」と述べた。このほかの発表項目と中心市宣言書部の内容は次の通り。
中心市宣言書
燕市は、越後平野のほぼ中央、県都新潟市と長岡市の中間に位置し、北陸自動車道や上越新幹線といった高速交通機関や主要国道116号、289号が整備された、総面積が110.94km2、人口約83,000人の地方都市です。全国有数の産業集積地として、生活用品から産業機械等に至るまで、さまざまな金属加工産業が発展しているものづくり地域であるとともに、信濃川水系である大河津分水路をはじめ、中ノロ川など豊富な水に恵まれるとともに、豊かな自然をたたえる弥彦山や国上山など美しい自然が保持されています。
弥彦村とは、行政区域を越えて生活圏を共有しており、社会・経済面などの面でも結びつきが深く、これまでも消防・救急・ごみ処理の運営など、連携した取り組みを進め、効率的な行政事務を行ってきました。
現在、口本は人口減少社会へと突入し、特に地方においては、少子高齢化と大都市圏への人口流出などによる急速な人口減少が進行することが想定されます。さらには、近年の経済のグローバル化の進展や地域経済の低迷など、地方を取り巻く社会環境は大きな転換期を迎えています。こうしたなか、地方自治体は個々の魅力を活かしたまちづくりを進めるとともに、市域を越えた広域的な取り組みを実践することにより、圏域全体で住民の暮らしに必要な機能を確保し、さまざまな地域課題に対応していくことが、これまで以上に重要になってきます。
本市は、定住自立圏構想における中心市となり、生活圏や経済圏を共にする弥彦村と、これまでに培われてきた連携や協力関係を尊重しつつ、圏域全体の暮らしに必要な都市機能の整備、充実を図り、魅力ある地域づくりを進め、住民の幸せを追求し、圏域全体の発展に向けて中心的な役割を果たすことを、ここに宣言します。
平成26年1月29日
燕市長 鈴木力