新潟県三条地域振興局は30日、燕三条リサーチコアで第8回にいがた県央マイスター認定証授与式を開き、先の審査で内定した「三条仏壇」を製作する石田宣一さん(71)=三条市西裏館2・石田仏壇店=に「仏壇製作(木地部門)」マイスター称号の認定証を贈った。
にいがた県央マイスター制度は、県央地域の高度な産業を支える卓越した技術者や技能者を「にいがた県央マイスター」に認定、表彰して技能の維持や継承、人材の確保や育成を図ろうと、平成17年に創設された。
第8回の今回は、石田さん1人の応募で、選考委員会(選考委員長・古川徹新潟大学名誉教授、委員9人)が審査、推薦し、名古屋祐三三条地域振興局長が認定。石田さんは26人目の県央マイスターになり、木工関係で3人目、「仏壇製作」の称号では初めての誕生となった。
石田さんは、高校卒業後、ディスプレイ関係の仕事を経て25歳から父の営んでいた仏壇の木地製作を始めた。平成3年と9年の全国伝統的工芸品仏壇仏具展で中小企業長官賞を2度受賞したのをはじめ、多数の入賞などで「三条仏壇」の評価を高めている。
平成20年から24年まで三条・燕・西蒲仏壇組合の理事長を務めるなど、産地の振興に尽力。平成17年度に伝統工芸士に認定される。
「三条仏壇」は、県内の仏壇産地で最も歴史が古く、1690年(元禄3年)の「三条別院」創建後、製造が始まった。古くから継承されているすぐれた技術と技法により、生地、彫刻、金具、漆塗箔押、蒔絵の5つの工程を経て完成。石田さんの行っている木地製作は、最初の工程でその仏壇の最も重要な基礎となる工程だ。
午後4時45分からの授与式には、そろいの赤い上着を着た先輩のにいがた県央マイスター19人と、来賓や関係者など約40人が列席。名古屋局長が認定証を読み上げて、記念の盾とともに石田さんに手渡した。
石田さんは、自己紹介のあいさつで、自身は父から仕事を習った2代目であると言い、仕事を始めるにあたって父に言われた言葉を紹介。それは、俺のそばで習え、人の作品を見るな、迷ったら寺に行って見てこい、師と付けられるまで仕事をごまかしてはならない、まじめにやれ、基本は崩すためにある、基本がわかったらそれを活用していかなくてはならないなど、いろいろなことを教わった。「仕事をして土台になったこと、発展したのは、皆さんにかわがってもらったから今ここにあるんだと思います」。
最後に、「これからもう一歩、おもしろい仏壇を作っていきたい。きょう、ご出席の皆さんのご指導を賜りますれば、もっともっとできるのではと思っている。これを機会によろしくお願いします」と、更なる挑戦への決意とともに新たな展開を期待した。