宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要を告げる世界初の鎚起(ついき)銅器製の駒札を製作する玉川堂(玉川基行社長・燕市中央通2)で31日、その打ち始め式が行われ、駒札を発注した真宗大谷派三条別院(鷲尾幸雄輪番・三条市本町2)をはじめ、三条別院の地元の幼稚園園児や商店街関係者らが出席して製作開始を前に駒札を製作する銅板をたがねで打った。
駒札にデザインする書は、先にダウン症の書家、金沢翔子さんが畳1枚分の大きさの紙に法要の開催日などを揮毫(きごう)した。玉川堂の仕事場にその書を打つやはり畳1枚の大きな銅板を置いた。
文字は銅板を裏からたたいて浮き上がらせて表現する。銅板にはすでに文字の輪郭が裏返しに描かれている。打ち始め式では、お宝様の掛け軸を掛けてお勤めを行ったあと、三条別院の鷲尾輪番と三条市長代理の小出和哉地域経営課課長補佐、三条市の大通りに店を連ねる三条中央商店街の鈴木直理事長、三条昭栄通り商店街の箕輪勲男会長の4人で文字の内側を金づちとたがねで3回ずつたたいて打ち始めとした。
さらに三条別院の境内にある松葉幼稚園の5歳児18人も同様に打ち始め。玉川社長も直接、手を取って園児を指導。園児はふだんとまったく違うようすに神妙な表情だったが、物足りずに「もっとやりたい」と話す園児もいた。
三条別院は、2015年5月に行う宗祖親鸞の七百五十回遠忌法要に向け、その1年前から法要を催すことを告げる駒札を参道に立てる。その計画を進めるなかで地元の燕三条地域に根差したものをと、玉川堂に世界で初めての鎚起銅器による駒札の製作を依頼。さらに書は、NHK大河ドラマ「平清盛」の題字も揮毫し、仏教の縁も深い金沢さんに駒札の揮毫を依頼し、昨年11月には三条別院で金沢さんによる席上揮毫も実現している。
玉川堂による駒札製作を前に、“地域と共に歩むお寺”として、三条市や燕市の関係者とともに打ち始めセレモニーを行ったもので、地域に伝承された技術を子どもたちにも知ってもらおうと、幼稚園児からも参加してもらった。
あいさつで50年に1回の法要を「何とか地域の方々のお力添えを得ながら務めさせていただきたい」と願った。
玉川社長は鎚起銅器の技術や歴史を紹介し、“人”が“一”つの銅板を“叩”くことで“命”を生み出す。使う人がからぶきをすることで命を育てるとし、「これから駒札の命を製作するので、三条別院さんはぜひその命を育てていってほしい」と期待していた。
駒札が完成したら5月中に立柱式を行って駒札を立てる。日程はこれから決めるが、三条別院では三条マルシェの開催日にあわせて三条マルシェのなかで大勢の市民と一緒に立柱式ができることを望んでいる。