燕市教育委員会では、14日から23日まで燕市分水公民館で燕市遺跡出土品展「平成25年度発掘調査速報」を開いており、今年度、燕市分水地区の「力ノ尾南(りきのおみなみ)遺跡」で行った発掘調査の速報をはじめこれまで分水地区の遺跡で見つかった遺物を中心に展示している。入場無料。
力ノ尾南遺跡は燕市渡部地内、大河津分水の左岸側の遺跡。今年度の調査で見つかった須恵器、土師器(はじき)、網に付けるおもりの土錘(どすい)、漆で書かれた土器、建物の柱材などを展示。注目されるのは、製鉄のときにできる鉄のくずの鉄滓(てつさい)、炉壁、ふいごに風を送る管の羽口(はぐち)が見つかっていることだ。
さらにそこから近い真木山地内の道上北(みちうえきた)遺跡で行った試掘調査でも炉壁や鉄滓、炭などを発掘。製鉄や鋳造にかかわる遺物が数多く出土し、鉄製品の生産が行われていたことがわかり、のちの燕市の金属加工産業へと続く礎とも考えられる。
ほかの展示物は、過去に地元分水地区で行われた発掘調査で見つかった遺物が中心。古墳時代の五千石遺跡=五千石=をはじめ、高畑遺跡=砂小塚=、中島遺跡=中島=、上町遺跡=笈ヶ島=。さらに渡部城跡=渡部=とその周辺の国上山城跡=国上=、黒滝城跡=弥彦村麓=などで発見された遺物を展示している。
弥彦村麓で掘り出されたと伝わる燕市指定文化財で珠洲焼(すずやき)の大甕(おおがめ)をはじめ、個人が採集した遺物も数多く展示し、分水地区で見つかった遺物を一堂に集めた展示となっている。
その年度に行った遺跡発掘調査の成果を報告書にまとめる前にいち早く市民に紹介しようと一昨年から毎年、出土品展を開いている。また、今回は23日午後2時から会場で初めて記念講演会も開き、新潟県文化財保護連名理事の花ヶ前盛明さんが「渡部城と越後の山城」をテーマに講演する。
花ヶ前さんは上越市に生まれで、元高校教諭。越後一の宮の居多(こた)神社宮司でもあり、上杉謙信の研究で知られ、著書も数多い。現在は新潟日報で「越後史跡紀行」を連載している。
力ノ尾南(りきのおみなみ)遺跡の近くに戦国時代以前に築城された可能性高い山城、渡部城。上杉謙信の死後に上杉景勝、景虎が跡目をめぐって起こした内乱「御館の乱(おたてのらん)」の舞台にもなっており、それにまつわる話についても聞く。定員150人で聴講は無料だが、申し込みが必要。申し込みは燕市教育委員会生涯学習課(電話:0256-63-7002)へ。