県は26日、大気中の汚染物質PM2.5の濃度上昇に伴う初めての注意喚起を行ったが、民間検査・研究機関の県央研究所(高野貞子理事長)は、健康な人はそれほど神経質になる必要はないものの、呼吸器や循環器の病気がある人や屋外に洗濯物を干すことにも注意を呼びかけている。
同研究所品質管理課の渡辺勝行課長によると、PM2.5の正体は自動車や工場から排出されたガス成分が大気中の有機化合物や窒素酸化物などと結びついて生成された微小粒子物質。その平均濃度が国の指針の1立方メートル当たり70マイクログラムを超えたことなどから、県は昨年3月に制度が始まってから初めて注意喚起を行った。
この数値がどれほど体に影響があるのかわからないため、不安に思う人が多かったが、渡辺課長の話だと、国の指針の数値は長期間にわたってさらされた場合を想定したものなので、「短期間ですぐに体がおかしくなるということはなく、体調を崩している人や呼吸器、循環器に病気がある人は注意が必要」と言う。
「健康な人なら神経質になるほどではないが、もちろん吸引しないに越したことはない」、「いちばんいいのは外出しないことだが、外出ならマスクを着けた方がいい」と勧める。
また、冬場は寒い日から急に暖かくなると、大気の温度がふだんとは逆に上空の方が高くなる「逆転層」が発生しやすい。これが大気にふたをする形になって空気の拡散をさまたげ、スモッグが発生しやすい状態になり、PM2.5の濃度上昇につながることがある。
しかし、急に暖かくなったことで洗濯物を屋外に干したくなるが、これは禁物。「洗濯物に付着したPM2.5を家の中に持ち込むことになる」と指摘する。26日は空気がにおいするようにも感じ、目がかゆくなったと言う人もあり、渡辺課長は、外から帰ったらうがいや目を洗うことも勧めている。