今年度スタートした三条市若手芸術家支援事業の第1弾、「中村暢子(のぶこ)書展ー高みへ…新たなる挑戦ー」が8日、三条東公民館で開幕。会期は13日までの6日間で、初日は開場式とギャラリートークが行われた。
午前10時から行われた開場式には、市内の文化、美術の関係者数十人が出席。国定勇人市長はあいさつで、市でも芸術、文化に十分な行政支援ができていないと自覚し、限られた財源のなかでも市内の作家が「市外、国内外に広く活躍することが行政の支援のできるいちばんの根本とようやく気付かされた」。
そんななかで三条市若手芸術家支援事業に取り組み、「すでにご活躍をいただいている中村さんに最後の頼みと逆に何とか支援させてくださいと伏してお願い申し上げた」。「逆に支援をいただいたのはわれわれ三条市」で、「中村さんの心意気に心から感謝を申し上げたい」と感謝した。
三条市若手芸術家支援事業を提案した「三条市文化芸術に関する懇談会」の阿部凉子会長は、きょうに至った経緯を話し、展覧会を引き受けてくれた中村さんに感謝し、三条市民は地元の人よりよその人をありがたがる傾向にあるが、「わたしくたちは、これから彼女を目標として進んでいく青少年が育っていくことを心から望んでいる。指導者としても期待している」と祝辞を述べた。
中村さんは、展覧会の話があったのが半年ほど前という「かなりむちゃぶり」だったが、「基本、頼まれたオファーは断らない」ので、「わたしがやることで、少しでも三条市の芸術に何か力になれるかと思って受けた」と話した。
「何か少しでも新しいものを」と構想し、「多分、この事業がなければやろうと思わなかったこと」に挑戦し、声をかけてもらったことに感謝。「若い世代から、目標というのはおこがましいが、一生懸命に取り組むことでこんな風になれるんだというようなものになれるように努力していきたいし、そういった方々のお手伝いができるような仕事をしていけたらいい」と願い、3人でテープカットを行って開場した。
10時半からギャラリトークを行い、展示会場で中村さん自身ががそれぞれの作品の創作のプロセスや創作に対する考え方、創作意図などを話し、来場者は斬新な展示手法にも驚きながら熱心に聴き入っていた。
三条市は長年、文化会館建設基金を設けてきたが、文化会館建設の見通したまったくたたないまま、7,300万円にまで達した。いつ生かされるかわからない基金を塩漬けにしておくよりも、有効に活用しようと平成23年度から基金の名称を三条市文化振興基金に変え、青少年文化振興事業「わくわく文化未来塾」や芸術鑑賞ツアーを行っている。三条市若手芸術家支援事業のその一環。基金は5,200万円となっている。
毎日午前10時から午後6時まで開場。9日は午前11時から席上揮毫(きごう)、午後2時からワークショップ「あかりを文字で飾ろう」が行われる。