4月20日に燕市・大河津分水桜並木で行われる第72回分水おいらん道中に向け、その主役となるおいらん役の歩き方のけいこが15日、分水福祉会館で行われ、おいらん役に選ばれた4人は“外八文字”と呼ばれるおいらん独特の足の運び方まで繰り返し練習した。
本番までに3回行うけいこの初日。先に手古舞(てこまい)役の練習を行い、同時に行っていたおいらん役のかつら合わせが終わってから1時間、練習した。
おいらん役は、信濃太夫役に松本華愛さん(23)=東京都豊島区・会社員=、桜太夫役に高野亜里紗さん(22)=十日町市・同=、分水太夫役に立島里菜さん(21)=燕市・同=、写真撮影用の染井吉野太夫役に鈴木二美恵さん(42)=新潟市・自営業=。
はじめに燕市観光協会おいらん道中専門委員会が自己紹介し、吉江正之会長は、5kgのかつらを含めて20kgの衣装で3kmを歩くことを話し、「途中で具合が悪くならいように、ぜひ最後までしっかり歩き通していただきたい」と求めた。
指導者は日本舞踊の花柳流・花柳寿之柳さん。「気持ちは表に表れます。わたしは選ばれたんだとか思わないように」と謙虚な姿勢で取り組むよう、くぎを刺してからけいこを始めた。
4人はそれぞれおいらんの前を歩いて肩を貸す幇間(ほうかん)とペアになる。組み合わせは本番まで変わらない。花柳さんは「幇間は重要」で、「ふたりは寄り添って絵になる」と息を合わせるよう求めた。
4人のおいらんは横に並び、床はじゅうたんでげたが引っかかるため、それぞれ縦に3枚連ねたベニヤ板の上を歩いた。右手は袖の中に納めて腰に当て、左手は幇間の肩に。げたは本番と同じ高さ15センチの3枚歯。最初はくつをはいてるのと同じように足を上げて歩く人もいたが、花柳さんはすり足で歩くよう指導した。
本番ではいったん進行を止めて“外八文字”を披露する。げたを外側へ大きく振り出し、内側へ傾けながら前へ出す。その所作を腰を落とし、舞うようにゆっくりと行うのは、見ている以上に体に負担がかかる。花柳さんは、何度も繰り返し指導し、約1時間にけいこが終わるころには、ぎこちなさは残るものの形になるまでに仕上がった。
おいらん役の鈴木さんは、「ふくらはぎに結構、きますね。ウエイトを重たくしてトレーニングを頑張ったのであまり疲れなかった。すごく楽しい」とにっこり。松本さんは「頭ではわかっても思ったようにげたが倒れなくて難しいけど、なんとか練習して頑張ります」と張り切っていた。