三条市猪子場新田、雑貨・スタジオ「Room」では、22日から30日まで野田英世スケッチ展「三条散歩〜歩いて集めた、とっておき〜」を開き、長岡在住の建築士兼まち歩きスケッチ画家の野田英世さん(43)が三条、栄、下田で出会った風景や建物をスケッチした作品を展示している。
作品はF2サイズを中心にハガキサイズと合わせて約30点。三条市の三条、栄、下田の3地区の建物や風景などを水彩で優しく繊細なタッチで描いている。
地元の人しか通らないような小路や裏通りも散歩するように歩き、老舗菓子店や金物店、バス停や駅などの建物や町並み、風景などを野田さんの視点で描いた三条を、スケッチポイントの分かる地図もあわせて展示している。
野田さんは建築士として住環境を追及しようと、「町を読む」、「暮らしに触れる」をテーマにまち歩きを重ね、その記録としてスケッチをしていた。同時に写真も撮るが、描くことによって屋根の感じなど細部までよくわかり、自身がそこで感じたイメージも残せる。「スケッチするとよくわかる。立ちどまっていろんなことがわかる」と言う。
建物など目に映るものを主役に、自身はその引き立て役に回るというスタンスだからか、こびるような、けれん味はこれっぽちもない。風景と作品を鑑賞する人を作品を通してつなぎ、媒介するような誠実さを感じる。
そのスケッチが新潟市秋葉区、旧新津のギャラリーの目に止まり、新津を描いた作品展を開かないかと声をかけられたのが、スケッチ画家としての始まり。昨春の新津をはじめ、豊栄、長岡などで作品展を開いた。今回は、「Room」の山本店長が三条を描いた作品をと声をかけて実現。昨秋から三条市での作品制作に取り組んだ。
野田さんの移動手段は徒歩が基本。それまで三条市は電車の乗り換えで通過するくらいで、市内をじっくり歩いたのは今回が初めて。最初は「燕三条 工場の祭典」の開催中で鍛冶小路など三条地区の北三条駅付をガイド付きでめぐった。ものづくりのまちの「三条の真髄にふれたようだった」と野田さん。「表からはわからないが、路地を入ったところに職人がいる」、「小路が多く、表通りからしみ込んでいくように歩くほどに発見があった」。自転車で下田まで出掛けたこともあり、何度も三条に足を運んだ。
2005年5月の合併で3つの市町村がひとつになった三条市を「個性を感じられるまち」と野田さん。三条は「町並み、人のおもしろさ」、下田は「自然にあふれている」、栄は「農村地帯」などそれぞれが個性的と感じたと言う。野田さんが描いた三条を「三条の人に見てほしい」と話している。
毎日午前11時から午後5時まで、24日は休み。入場は無料。作品のほか、3種類のブックカバー(1,575円)も販売している。
店舗は国道8号を三条方面から長岡市方向へ向かい、割烹食堂中越やセブンイレブンのある信号交差点の一ツ屋敷交差点を左折し、1つ目の信号交差点を右折して70mほど進み、左手の田んぼの奥に白い建物の「Room」が見えるので、左折する。