平成25年度三条市成人式がことしも「春分の日」の21日、燕三条地場産業振興センターで開かれ、対象者の男555、女516の計1071人の82.91%に当たる888人の新成人が出席。開式前に酒に酔って勝手にステージに上がるなどした新成人1人を退場としたが、式典は先の燕市成人式にも増してマナーが良く、二十歳の門出にふさわしい成人式だった。
国定勇人市長の式辞は、ことしも原稿を持たずに7分余り、文字にして約2,000字に及び、厳しい目で新成人を見渡しながら話した。新成人にとってこれからの10年がとても大切で、これから先の無限の可能性をつぶさないための実践が今、始まったことを肝に銘じなければならない。可能性を切り開くための時間は思っている以上に短く、多用な経験を積み、それができなければ本を読んで研さんを積むよう求めた。
近年、良く言われるまちづくりに必要な、よそ者、ばか者、若者を紹介して、そのひとつである若者の新成人に期待し、さらに市外に出てもよそ者となって三条市へ戻って貢献してくれるよう願った。
先のソチ五輪の若者、新潟出身選手が活躍し、三条市で若い人たちが活躍していることにふれ、「皆さまも大きな可能性を秘めた若者のひとりであり、きょうという日をひとつの節目とし、自らの可能性をさらに開花させるために夢の実現に向け、階段をのぼっていっていただきたい」と求めた。
新成人の公務員近藤雅哉さん=大崎中出身=、新潟青陵大学野島瞳さん=第一中出身=が新成人のことばを述べた。
投票権を得て政治に参加する、社会の一員として節度ある行動を心掛ける、安心安全な食事ができていることを喜ばなければならないとし、「竹に上下の節あり」という言葉を引用し、「社会の一員として明るく希望に満ちた未来をわたしたちの力で築き上げていくため、力強く歩んでいく」、「この三条市に生まれ育ったことに誇りをもち、多くの方々の期待に応えられるように社会に貢献していく」ことを誓った。
続く第二部は中学校区別対抗ゲーム大会、第三部は記念写真撮影を行った。この日の三条は、雨が降って北寄りの風が強く、時折みぞれもまじって最高気温は2月中旬並みの5.7度と花冷えのする厳しい寒さだった。
おかげで例年、玄関前で話し込む新成人を会場に入れるのに苦労するが、外で話すにはあまりにも寒く、着物も濡れるため、スムーズに会場に入った。ただ、一升瓶を持って酒を飲んで訪れ、開式前に勝手にステージに上がったり、マイクを使おうとしたりしたため、主催者が退場させ、第二部からの参加とするアクシデントはあった。
しかし、その後の会場は静かで、先に行われた燕市成人式も過去にないような折り目正し成人式だったが、三条市成人式はそれを上回る静かさ。例年、国定市長は式辞の途中で言葉を止め、騒ぐ新成人を注意する場面があるが、ことしはその必要はまったくなく、式典が終わって帰るときには、担当者に笑顔で声をかけ、労をねぎらった。
一転して中学校区別対抗ゲーム大会は大いに盛り上がった。ここ数年、国定市長が司会、盛り上げ役となって抽選会を行ってきたが、国定市長からも長く続けてきたので、もう十分じゃないかという声もあったようで、趣向を変えた。箱の中に入れたものを手でさわって当てるゲームと、豆腐の早食いと決勝は乳酸菌飲料の早飲み。中学校区別対抗なのが競争心をあおって、新成人はステージに熱中し、「めっちゃ、いい企画!」と話す新成人もいた。
女性は全員といっていいくらい振り袖。男性はスーツのほかに羽織はかまや髪はリーゼントといったファッションも目立ったが、マナーを守って行動。まさに節度ある新成人にふさわしい式典だった。成人式のあとは、学校単位で二次会を計画しているのがふつうで、二次会会場での再会を約束して長居することなく帰っていた。国定市長の式辞全文は次の通り。
国定市長の式辞
新成人の皆さん、本日は誠におめでとうございます。晴れておとなの仲間入りをなされました新成人の皆さま方に大変お忙しいなか、ご臨席をいただきました多くの来賓の皆さま方とともに人口10万2,000人余の三条市民を代表いたしまして心からお祝いを申し上げたいと思います。
皆さまは本年度から晴れて大人の仲間入りをしたわけですけれども、おとなの世界にとっては皆さんはまだ1年生であります。
先ほども申し上げました通り皆さんは輝かしい門出を迎えられたわけであります。と同時に皆さんの前には輝かしい未来が待っています。そこには無限の可能性が広がっているというふうに言ってもいいでしょう。
でも、無限の可能性があると言うことはその可能性をこれから先、広くしていくのも、あるいは狭めていってしまうのも自分たちのその生き方ひとつにかかっていくんだということをどうか肝に銘じてください。
皆さんの人生は、まだ始まったばかりです。皆さんの将来はまだまだ確定をしたわけではありません。皆さんの将来が自分の思うがごとく進んでいけるようにしていくためには、ここから先、10年間が勝負だと思っています。これから先、10年間、いかに可能性の選択肢を自らの手で潰していかないのか。その実践の活動が、きょうから始まるというふうに覚悟を決めていただきたいと思います。
皆さんの日々の覚悟の決めよう、それに伴う行動は何かと言うと、ひとつでも多くの多様な経験を積んでいただくということです。皆さんには輝かしい未来があるのと同時に、その輝かしい未来、無限の可能性を切り開いている時間というのは思っているほど長くありません。限られた輝かしい時間を有効に使っていくためにも日々、新たな今までとは違う経験を積んでみてください。
会社に勤めていたり、あるいは学校が忙しかったり、場合によっては子育てをしていたりということで時間のない諸君は、どうか本をたくさん読んでください。本を読むことは、皆さん自身の大いなる経験を実際の経験を積むのと同じくらいに積ませてくれることだというふうに思っています。
そして自己の研さんを積んだ皆さんは、今度はおとなでもあるわけですから、社会人として世の中に貢献をしていってください。
どこのまちでも、そのまちが活性化をしていくためには昨今、3つの力が大きく作用するというふうに言われています。その1つ目はよそ者、2つ目はばか者、そして最後が皆さんのような若者の力であります。
若者の力がなぜ、まちの発展に望まれているのか。これは、若者だからもっている、ほかの人には無い価値観をもっているからです。つまり、過去にとらわれず、過去の前例にとらわれずに大胆に挑戦をしていく、そのエネルギーが皆さん一人ひとりに宿っているから、若者の力がまちの発展には不可欠なわけであります。
でも、ここでよく考えてみてください。過去にとらわれないというためには、過去を知らなければいけません。これまでの過去の歩みはどうだったのか。それを知らずして過去にとらわれないことをやるというのは単なるばかです。周りの人たちが見てこいつは過去にとらわれない、しっかりした信念をもってやってるというふうに、自他ともに認められるためには、過去を知るための努力を怠ってはいけません。
つまり、皆さんは20歳になって、成人になって輝かしい前途のために大きな権利をもつとともに、その権利を遂行していくための同じぐらい大きな責任をもたされているということをきょう、あらためて覚悟を決めていただきたいというふうに思っています。
皆さんが、この生まれ育った三条市のために何ができるのかということも併せて考えていただければというふうに思います。
きょう、お集まりをいただいている新成人の皆さま方の少なからずのメンバーは今、実際に三条市に住んでいない人も多くいると思います。先ほども申し上げました通り、三条市の未来をつくっていくためには、若者であるすべての本日、お集まりをいただいている皆さんの力と、そしてばか者の力、そしてよそ者の力が必要になります。
三条市に今、居を構えていない市外で仕事をされていたり、勉学に勤しんでいる本当に多くの皆さんは、どうかそれぞれの道をまず歩んでいただいて、そして30歳を迎え、少したったくらいに再び三条のために尽くしていただき、できれば戻って来ていただいて貢献をしていただきたいと思います。そういうときには皆さんにはきっと若者としての力だけではなくよそ者の力も合わせて持ちうるものだというふうに信じている所であります。
最後になりますが重ねて新成人を迎えられました皆さま方のすばらしい将来に心からエールを送り、重ねて本日、大変お忙しいなかご臨席をいただきましたすべてのご来賓の皆さま方に心から感謝を申し上げまして式辞とさせていただきます。
平成26年3月21日 三条市長 国定勇人