97年に閉館から売却先を探していた旧燕市総合福祉センター「たのうら燕」=新潟市西蒲区間瀬=の譲渡先が学校法人を主体とするグループ企業「NSGグループ」(池田弘代表・本部新潟市中央区)に決まり、燕市とNSGグループは24日午後4時半から市役所で譲渡に関する覚書調印式を行った。
NSGグループの池田代表は、「たのうら燕」を学校の部門で取得し、来年4月の利用開始を目指して専門学校の体育の授業や日本の学生と留学生の交流施設、小中学生のサマーキャンプなどに利用したい考えを示した。覚書には燕市民にも有益な使い方となるよう努めるとする条項もあり、燕市にとってもベストと言えるパートナーを得た。
NSGグループからは池田代表とNSGカレッジリーグ総務部部長、イリノイアカデミー持病部部長が出席し、鈴木力市長と池田代表が覚書に調印した。覚書では、原則として来年3月末までに譲渡し、代金は別に協議するとあるうえに、「乙(NSGグループ)は、本件私有財産を燕市民に対し有益な使い方となるよう努めるものとする。」との条項も含まれている。
「たのうら燕」は71年4月、燕市社会福祉協議会が保養施設として田ノ浦海岸に建設。敷地8,818平方メートルに鉄筋3階建延べ床面積1,396平方メートルの建物で、総工費は約4億円。利用者減もあって95年11月に閉館し、翌96年4月に燕市に寄付。燕市はその年の海水浴シーズンを中心に7月から10月まで開館したが、翌97年3月いっぱいで再び閉館した。
以来、売却を探したが買い手が現れず、09年に予定価格7,268万円でインターネット公売を始めたが、施設の見学がせいぜい。買い手はなかなか現れず、予定価格を781万円で下げていたところ、昨年2月ころにNSGグループから見学の申し出があり、燕市は公売を中止してNSGグループと交渉を進めた。
続いて行われた記者会見で鈴木市長は、新潟県を代表する教育をはじめ地域住民や県の発展に活躍するNSGグループが「たのうら燕」を活用してくれることに、「長い間、このパートナーを待っていたと思えるくらい理想の方にめぐり会えた」と喜んだ。
覚書については、「この金額にこだわらずにお互いに共同でやれる事業とか、燕市の市民にとって有益な事業をそのなかでやっていただくということをいろいろと相談させいただくなかで、金額についても再度、見直しを図る」、「譲渡を基本にしながらも4月以降、お互いに何ができるかということを詰めながら金額を最終的に詰めていこうという覚書」と説明した。
池田代表は、「グループのなかの学校の方で取得をさせていただいて、活用してまいりたい」とした。新潟市内に25ある専門学校の体育などの授業に使い、近年、ASEANからの留学が増えている専門学校は海のない所の出身で海に興味をもつ学生が多く、日本の学生と留学生が交流する施設としても利用。さらに小中学生を中心に700人が通う英会話スクール「イリノイアカデミー」=胎内市=の海でのサマーキャンプなどにも有効に使いたいとした。
先に妙高市に県の研修所を取得した施設があるので、施設に関する知見もある。すでに妙高市に冬の施設があるので、夏の施設となる「たのうら燕」は、「ものすごい財産では」と期待。建物は改修が必要と思われるが、「学校の使い勝手と安全生をどういう風にやっていくかをこれから詰めて態勢を整えてやっていきたい」と話した。