三条市総合運動公園市民球場の施設命名権をパール金属株式会社(高波文雄社長・本社三条市五明)が取得し、1日から新たに「三条パール金属スタジアム」として生まれ変わったのを記念して5日、公園の指定管理者の株式会社丸富(柴山昌彦社長)は5日、元西武ライオンズの工藤公康さん(50)と元読売ジャイアンツの松本匡史さん(59)のプロ野球史に輝かしい足跡を残す2人の名選手を講師に迎えた「大人の野球教室」などのイベントを行った。
本格的な雪まで降る真冬の荒天に見舞われたが、午前8時から球場周辺で行ったごみ拾いボランティアには、市内の球児やその指導者など約800人が参加した。
9時から1,000人が手をつないで球場の周りを囲んだ様子を上空から撮影する予定だったが、これは降雪のため中止し、正面玄関前でテープカットともちまき、サイン会を行った。
テープカットで丸富の柴山社長は、「雪が真珠のように、まさしくパールのような形で、大荒れの天気だが、前途にふさわしいオープニング」、国定勇人三条市長は「夢の舞台が待ち受けている」、パール金属の高波社長は「パール金属は社会貢献や地域貢献をしていく」などとあいさつし、松本さん、工藤さん、三条市スポーツ少年団一小スターズの捧未紀君ら11人で紅白のテープにはさみを入れた。
もちまきは、スタジアム2階から正面玄関前に集まった参加者に向かって工藤さん、松本さん、国定市長が菓子を投げ、大にぎわい。サイン会には長い行列ができた。続くメーンの「大人の野球教室」は同スタジアムで行う計画だったが、先にグラウンド使用を申し込んだ団体が雨で屋内練習場に会場を移したため、「大人の野球教室」は南小学校体育館に会場を移して行い、地元の野球の指導や40人と中学生球児20人余りが参加した。
また、松本さんは“ミスタージャイアンツ”、巨人の長嶋茂雄元監督が左手がサインを書いた色紙をもらってきてくれ、高波社長に贈呈した。
工藤さんは43歳まで現役を続け、西武、ダイエー、巨人の3球団で日本シリーズを制覇した“優勝請負人”の左腕投手。今も人気は抜群で、会場では工藤さんファンの女性の歓声も響いた。「子どもは大好き」と話しており、子どもの姿を目で追い、気軽に話しかけていた。
明るい振る舞いもテレビなどを通じて知る通りで、サイン会では「はい、1番の方!」とおどけて見せたり、球児に「最近は帽子のつばを曲げるのがはやってるの?」と質問したり。右手でサインしているところを聞かれると、「書くのは右ですよ。子どものころに親に矯正されたんです」と話していた。
松本さんは2度、盗塁王のタイトルをとり、やはり盗塁でならした先輩の“赤い手袋”の柴田勲さんに対して青い手袋を着けたため、“青いイナズマ”と称された。銀縁のめがねもトレードマークで、紳士なことでも知られた。
会場でも自分から進んで話すことはあまりなかったが、聞かれたことにはソフトな語り口で答え、やはり現役時代のイメージ通りだった。
三条の球児へのメッセージとして工藤さんは、子どもたちにけがをさせないで野球をやらせてあげる環境をつくることが「何より大切」で、「子どもたちには夢をもって頑張ってほしい」し、支えてくれた地域の人やパール金属の人に「大きくなったら感謝を言えるような子どもに育ってほしい」。
松本さんは「小さいときの夢は非常に大事」で、夢を大切にするよう願った。「それに対しての目標を設定してあげるのがおとな」で、「常に子どもたちが発言できるような環境をつくってほしい」と求め、子どもの野球教室では発言できる子とできない子にはっきり分かれてしまうが、「三条の子どもたちは、しっかり自分たちの思ったことはっきり話せるようにしてもらいたい」と期待した。