燕市観光協会(山崎悦次会長)は20日、大河津分水桜土手と地蔵堂本町通りで第72回分水おいらん道中を行う。昨年はさまざまな新しい趣向を打ち出したものの、当日は雨に見舞われて10年ぶりの屋内開催という残念な結果だっただけに、関係者はとにかく雨が降らないことを第一に願っている。
おいらん道中は70人で行列を編成し、囃子方が乗る山車を先頭に手古舞(てこまい)が先導。公募で選ばれた信濃太夫、桜太夫、分水太夫の3人のおいらん、そのそばに傘持ちとほうかんがつく。さらにかむろ、舞妓などが続き、おいらんは独特の外八文字の歩き方を披露しながら進む。
昨年も計画しただけに終わったが、以前は大河津分水桜並木、地蔵堂本町通りの順に行ったが、大河津分水桜並木の行列が終わるとすぐに帰ってしまう人が多いため、観光客の会場周辺の滞留時間を長くしようと、正午から地蔵堂本町通り、午後2時から大河津分水桜土手と順序を逆に入れ替えた。
さらに地蔵堂本町通りは以前と逆方向に分水福祉会館を出発して願王閣まで進むので注意。大河分水桜土手はこれまで通り信濃川大河津資料館を出発して下流側の大河津橋橋詰めまで進む。
ほかにもイベントがたくさんある。地蔵堂本町通りでは、午前10時から午後4時までフルサワ美容室で「おいらん変身体験」。女性限定で先着約50人にひとり4,000円で、簡単なかつらや着物を着ておいらんの気分が味わえる。変身の所要時間は約1時間で毎年、早い者勝ちの人気だ。
江戸時代に始まった「紋切り」に挑戦するはっぴーザウルス主催の「もんきりあそび体験」、良寛の書の拓本を無料でとることができる分水拓本研究会主催の拓本体験、燕市社会福祉協議会就労センター主催のおいらんキャンドル作り体験、おいらんをモチーフにしたキャンドルを作る。分水商工会青年部は午前と午後でそれぞれ先着10人を対象に桜の鉢植え体験がある。
分水さくら公園では、特設ステージで午前11時から午後1時まで分水太鼓、飛燕太鼓、吉田太鼓龍神会の市内3地区それぞれの和太鼓グループが競演。午後3時から燕市出身で燕市PR大使の演歌歌手、上杉香緒里さんが歌謡ショーを行う。その間の1時から3時までの間は、燕市の観光PRキャラクターの「きららん」と燕市のPR隊鳥でもある東京ヤクルトスワローズのマスコット「つば九郎」も登場する。
ステージイベント以外でも、写真撮影用のおいらん役「染井吉野太夫」が登場し、1組1,000円の協力金で限定50組を対象に一緒に記念写真に写ったり、染井吉野太夫を撮影したりできる。会場はさくら公園のビジターセンターで、正午からと午後1時半からの2回に分け、それぞれ1時間前から希望者の申し込みを受け付ける。
また、「つばめるしぇ」として、地蔵堂本町通りに13、大河津分水桜土手そばのさくら公園に27の飲食店がなどが出店するので、飲み食いは現地調達できる。
本番前日の19日も地蔵堂本町通りでイベントがあり、正午から分水仏教会による花祭り稚児行列、午後2時から昨年度のおいらん役2人が模擬おいらん姿で登場し、翌日の本番へのムードを盛り上げる。
昨年は雨で対応に追われた反省から、ことしは万全な雨対策を進めた。雨なら昨年のように分水総合体育館で来場者入れ替え制で午後0時半から、1時半から、2時半から、3時半からの計4回、行う。その観覧券を午前10時から分水さくら公園と地蔵堂本町通りのそれぞれ本部、分水駅前案内所、分水総合体育館の4会場で配布する。
分水総合体育館での開催を決めたら午前9時と10時の2回、市内の防災無線で放送して知らせるほか、燕市観光協会のホームページときららんのFacebookページに掲載して周知する。本部や分水駅の案内所でも案内する。
一般用の駐車場は付近に10カ所を設け、普通車1台500円の駐車協力金が必要。電車で訪れる人のために、分水駅と分水さくら公園を20分間隔で往復する無料のシャトルバスを運行。雨ならそれに分水総合体育館を加えた3カ所を巡回して運行する。
分水おいらん道中は県外からの見物客も多く、多い年では10万人の人出でにぎわうが、雨だった昨年は6万人にとどまった。雨降りの場合の対応のノウハウを蓄積していなかったこともあり、昨年は数多くのクレームもあったが、ことしは雨天の対応を十分に詰めて旅行代理店などに説明、理解を求めたこともあってか、大型観光バスの駐車場利用の申し込みの予約は、昨年の84台を上回る92台にのぼる。例年はほとんどない関西圏からの問い合わせもある。
大河津分水桜土手のサクラはすでに満開だが、風雨がなければ当日まで花はもつはずだ。ことし初めて12、13日と行ったプレイベントも絶好の好天に恵まれて予想以上の人出があり、16、17日のJR東日本の臨時列車「分水夜桜号」の利用者も昨年よりずっと多く、ここまで順調すぎるくらい順調にきている。あとは当日の天気だけで、関係者はワラにもすがる思いで好天を願っている。