これまで歯科医院が開設されたことのなかった三条市下田地区の山手に昨年3月、開所してから1年余りたった「じろう歯科診療所」(奥山次郎院長・三条市長野)は21日、診療所内のスペースを生かして写真展をスタートした。
診療所の待合スペースと治療室の壁がギャラリースペース。展示したい人を募集して約1カ月サイクルで展示替えする計画だ。その第1回は同診療所に隣接する介護老人保健施設「いっぷく」の看護職員、山口良彦さんの個展で、A4サイズ20点と2Lサイズ5点、ほかに撮りためた写真を納めた写真アルバム1冊を待合室に置いて見てもらっている。
テーマは「遠くの絶景より、近くの発見〜カメラが感じた里山の気配〜」。山口さんは渓流釣りが趣味で、その行き帰りに見る風景を写真に記録したいと撮り始めた。展示作品は主に下田地区で撮影した息遣いを感じさせるような美しい自然を被写体にしており、山口さんは空気感”を感じ、共感してほしいと願っている。
「開所から1年がたってようやく地元に根付きつつあると思い、診療所としてだけでなく、地域に貢献できないか」と、車いすに対応した余裕のある診療所のスペースを生かすことを思いついた。
写真展はもちろんだが、それ以外の作品でも構わない。これまでも地域の人の作品をいくつか飾ったことがあり、患者が待ち時間に作品を眺めたり、作品について話しかけてくれたりして、コミュニケーションも円滑になった。
また、診療所よりさらに奥に住む人で診療所に来たことのない人は多いと思われ、「診察を受けなくても作品を見られるので、この機会にぜひ診療所に足を運んでほしい」と奥山さんは来所を待っている。