日本棚田百選に認定されている三条市下田地区の「北五百川の棚田」では、ことしもカタクリの花が満開となり、散策に訪れる人を楽しませている。
北五百川の棚田は、三条市の粟ヶ岳登山道のぼり口近くで、粟ヶ岳や守門岳を望む斜面に棚田が連なる。その一角のサクラの木の下にカタクリが群生し、毎年、かれんな花を咲かせている。
残雪の粟ヶ岳を背景に、薄紫色のカタクリの花が一面に広がる風景は訪れる人を驚かせ、和ませる。
今冬は、積雪が例年の半分ほどの1m20cmくらいで、雪解けも早かった。それでもなかなか気温が上がらない日が続いたが、4月中旬ころから咲き始め、満開を迎えた。
雲ひとつない青空が広がった23日早朝、カタクリが群生するこんもりとした山の前に立つと、薄紫色のカーペットを引いたようなカタクリと、その上の満開の薄いピンク色のサクラで目の前いっぱいに広がった。ウグイスなど野鳥のさえずりと水を張った棚田から聞こえるカエルの鳴き声を聞きながら、春を満喫できる。
カタクリの花は毎晩、つぼみを閉じ、朝は明るくなってから再び開く。この日は霜が降り、午前6時前には、下を向いたようにつぼみを閉じたカタクリの葉も白くなっていた。8時前に太陽の光が当たりはじめると、無数の花が音もなくゆっくりと花びらを開きはじめた。
カタクリの花は今週末ころまでが見ごろ。同所の花は気温や天気によって開き始める時間が違うが、晴れた日は午前8時から11時ころに開くことが多い。棚田の散策は自由だが、車で行く際には路上駐車は迷惑になるので、棚田近くの指定駐車場を利用する。また、マナーを守っての散策を呼びかけている。