真宗大谷派三条別院(鷲尾幸雄輪番・三条市本町二丁目)は30日、宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要を告げる駒札の立柱式を行った。鎚起銅器の玉川堂(玉川基行社長・燕市中央通二丁目)が製作した世界初の鎚起(ついき)銅器製の駒札で、書はNHK大河ドラマ「平清盛」の題字でも知られるダウン症の書家、金沢翔子さんが揮毫(きごう)。50年ごとの節目を飾るにふさわしい駒札の完成を祝った。
印刷技術が普及するまで、広報するためにひと目をひく所に文字を書いた板の札「高札(こうさつ)」を掲げた。それを将棋の駒の形にしたのが「駒札」。三条別院では、来年5月に行う親鸞聖人七百五十回御遠忌法要を告げる駒札を参道に掲げるのに伴い、鎚起銅器製の駒札を企画した。
完成した駒札は、ほぼ畳一枚分の大きなもの。玉川堂が彫金技術で銅板を裏からたたいて金沢さんの書を浮き出させ、化学反応による着色を施したもので、三条別院へ入る参道の左に立てた。外に立てると屋内で製作していたときよりは小さく見えるものの、金属ならではの重厚感や、紫金色と呼ぶ深みがあって光の当たり方によって微妙に色合いが変化する着色技術で生み出された存在感に圧倒されられる。
一般向けには三条別院などを会場に開かれる三条マルシェにあわせて6日から公開するが、それに先立って30日は関係者らで一足早く立柱式を行い、完成を祝った。
約50人が参列し、鷲尾輪番を導師に読経を行って開式。三条教区宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌実行委員会の楠雅丸実行委員長は、鎚起銅器の駒札の完成を心配したが、無事に完成したことを喜び、三条、燕の技術を目の当たりにしたいい企画だったと感謝し、来年は「皆さま方の力を借りて立派な法要を勤めあげたい」とあいさつした。
玉川堂の玉川社長はあいさつで、鎚起銅器の駒札を作るのが初めてなら、これほど大きな作品を作るのも初めてと言い、製作工程を説明し、雨にさらしたままにするとしみが出るので、「三条別院さんから毎朝、からぶきしていただいて、からぶきをすることによって銅の表面が光沢が出て、色合いが深まる」ので、1年後には「色が深くなったところを楽しんでください」と楽しみにした。
テープカットは、楠木実行委員長、鷲尾理事長、三条市長代理の長谷川経済部長、玉川堂の玉川社長、玉川達士工場長、駒札製作を担当した職人の早川常美さん、地元自治会長、市内商店街の代表など16人で行った。それに使った赤いテープは、新潟のクリエイト集団「ヒッコリースリートラベラーズ」が手掛けたもので、「親鸞」や「750th」の文字を白抜きでデザインしたおしゃれなもので、そのデザインを避けてはさみを入れた。
最後に鷲尾輪番は、“御坊さま”とも呼ばれて三条別院が地域の人に親しまれていることに感謝し、「御遠忌が終わりではなく、ある意味では御遠忌を機によりいっそう皆さまとの関係を深めて別院が未来永劫、歩むことができますように皆さま方とともに切にお願いする」と話した。