ゴールデンウイーク最終日の6日、三条市の中央商店街周辺を会場に開かれた今シーズン幕開きの三条マルシェは、五月晴れにも恵まれた。人出は昨年度の1回目を上回る2万7,800人を数えた。
飲食、物品を販売する場だが、コミュニケーションの場としての意義も大きい。店と客はもちろん、三条マルシェで久しぶりに顔を合わせる客と客も多く、会場のあちこちでひっきりなしにあいさつが交わされる。フェイスブックの「いいね」じゃないが、この日の会場だけで「100万あいさつ」どころではない数のあいさつがカウントされたことだろう。
それはさておき、今回の三条マルシェで気付いたことをつらつらと。昨年6月まで3カ月間、三条市・一ノ木戸商店街のみんなのまちの交流拠点「みんくる」の飲食チャレンジショップに出店した「SOYL cafe(ソイルカフェ)」が、キッチンカーで三条別院の境内に出店していた。
キッチンカーの改造を業者に頼むと100万円、200万円という単位でかかるが、なんと手作り。前から器用だとは思っていたが、内外装に手作り感はなく、パーフェクトな出来栄えだ。
4月から営業を始め、三条マルシェが3回目のイベント出店。経営する小林正樹さんは、店を始めることになったらいちばん最初に連絡すると言ったのに連絡が遅れてしまったことをしきりにわびていたが、そう言われてからそう言えばそうだったと思い出した。
環境問題に対する意識が高く、オーガニック、有機栽培にこだわったメニューが特徴。会場を回ってすでに腹いっぱいだったので食事はいただなかったが、次回は必ず味わおう。
三条マルシェでは、商店街の既存店からも当日は店を開けて営業してもらい、日常の誘客にもつなげてもらおうというねらいがある。昨年秋、中央商店街にオープンしたミニシアターカフェ「キネマ・カンテツ座」は、初めて本格的に三条マルシェに参戦した。
ふだんは締めきった内側にスクリーンが下げてあるシャッターを開け、バザールと称して店内に複数の店が出店。「キネマ・カンテツ座」のPRにと企画した。長岡造形大学の紙漉き(かみすき)サークル(斉藤楓恋リーダー)。大学で紙すきというのがおもしろい。発足から5、6年になり、地元といえる小国和紙の職人の指導を受けている。
学校に紙すき専用の作業場はないが、学校に保管している道具を教室に運んで作業する。今回は友人のつてで出店し、色つき和紙やコサージュ、はがき、ポチ袋などを販売。学園祭くらいしか作品を見てもらったり、販売したりする機会がなく、「いろんな方に見てもらえるのがうれしい」と話していた。
本寺小路に出店したツバメコーヒー=田中辰幸代表・燕市吉田=の一角を借りて、ナカジマ園芸=中島善洋園主・阿賀野市=が出店した。さまざまな色に塗った鉢に植えた多肉植物を750円から1,800円で販売。鉢の色合いとおもしろい形をした多肉植物の組み合わせが来場者の目を集めていた。
ツバメコーヒーでは、5月から店内でナカジマ園芸の多肉植物を販売している。たまたまツバメコーヒーへ行ったときにナカジマ園芸の中島瑠美さんが商品を納めているところに出くわした。多肉植物と鉢を組み合わせたかわいいセンスに、三条マルシェへの出店を勧めると、当日は休みだからとツバメコーヒーのショップインショップのような形式で出店した。
ナカジマ園芸はポインセチアをはじめとした花を栽培しているが、多肉植物を昨年10月に扱い始めたばかり。最初、花鉢の着色を試みたなかで、多肉植物との組み合わせを思いついた。デザイナーのきょうだいもデザインを手伝ってくれている。
昨年、地元で開かれた「あがのわくわく産業フェア」に出店しているが、営業活動はまだまだこれから。「若いお客さんに見てもらえるかな」と三条マルシェ初体験だったが、「こんなに大勢の人が出るとは思いませんでした」と驚きながらも、にこにこだった。