相場商事株式会社(相場亮嗣社長・三条市矢田)は、このほど同社の三代相場長一郎が新潟県の委嘱で満州(今の中国東北部)と朝鮮を同業者3人と約40日間にわたって産業視察した記録の一部を収録した『満鮮産業視察団日誌』を出版し、9日、燕市に10冊を寄付した。
相場社長が市役所を訪れて鈴木力市長に手渡した。同社は燕市杣木で創業したこともあり、前日8日に三条市に10冊を寄付したのに続いて燕市にも寄付した。
相場商事は、今は特殊鋼販売などを手掛けるが、文久元年(1861)に創業したときは金物卸売業を営んだ。相場社長の祖父にあたる三代長一郎は、大正12年(1923)に加藤文次郎、捧吉右衛門、遠藤松次郎とともに視察へ出掛けた。それぞれ今の三条金物、燕物産、遠藤工業の礎を築いている。
三代長一郎が日誌、捧吉右衛門が写真を担当して視察を記録したと思われ、それらを同書にまとめた。さらに相場社長の父、四代長一郎の回想録「刃物鋼と歩む」と同社の歴史、旧資料もあわせて収録。約250ページにも及ぶ膨大な資料にまとまった。
相場社長は、東京・日本橋木屋の社長から同書を読めば現在の中国がわかると言われ、今の中国にも通用することが書かれていると紹介。父の回想録からは三条の刃物、燕のステンレス材料の歴史もわかると話した。
満鮮産業視察団のハードな日程に相場社長「私だったら3日間でギブアップする」とその精力的な視察に脱帽。鈴木市長には一生の宝物にするので、感想文を書いてほしいと頼んだ。
鈴木市長は、相場社長が持参した満鮮産業視察団の記録や写真の現物に「これだけびっしりと書いてあるのがすごい」と、驚いていた。