燕市の研磨業者中心の共同受注グループ「磨き屋シンジケート」と「Ken Okuyama」の名で知られる工業デザイナー奥山清行さんがコラボレーションしたワイングラス「ARC」の「特別研磨モデル」がこのほど100個限定で発売された。
磨き屋シンジケートと奥山さんのコラボレーションは、2013年9月に発売されたステンレス製エコカップの「ECOCUP” KEN OKUYAMAモデル”」に続いて2アイテム目。
奥山さんは、フェラーリエンツォ、マセラティクアトロポルテなどの自動車やオートバイ、鉄道の北陸新幹線のE7・W7系や秋田新幹線のスーパーこまち(E6系)の監修など、国内外で数多くの工業デザインを手がける。
ワイングラス「ARC」は、ステンレス製のワイングラス。ガラスでは表現できない曲線と直線で構成されたデザインで、ワインをおいしく飲む機能も盛り込まれているという。オリジナルモデルは2012年から販売されており、重厚な高級感を感じさせる371グラム。今回の特別限定モデルは、奥山さんから「磨いて(重量を)軽くしてほしい」との難しいリクエストを受けて、磨き屋シンジケートが挑戦した逸品だ。
特別研磨モデルは、カクテルシェーカーなど「YUKIWA」ブランドで知られる老舗の銀器・ステンレスメーカー三宝産業(株)=燕市小池=のプレスと溶接の技術に、磨き屋シンジケートメンバー小林研業=新潟市西蒲区打越=の光野卓さん(30)が磨きを担当した。
軽量化は、磨くだけでは数グラムの減にしかならない。板厚を薄くして軽くするのは簡単だが、溶接部分の強度が低下し、磨きの作業も難しくなる。両社で何度も行き来して研究を重ねた結果、作業工程を増やし、高度な技術でていねいに仕上げることで、オリジナルモデルから約5分の1、70グラムも削減して約300グラムという軽量化を実現。さらに磨きのかかった、職人の技術と手間を惜しまない限定品ができあがった。
本体の底には「Ken Okuyama」と「磨き屋シンジケート」のブランドロゴを並べたダブルネーム。加えてシリアルナンバーも刻印されている。販売価格は1個31,860円。
販売する「KEN OKUYAMA DESIGN」は、SNSで特別限定モデルについて「まさに新潟県燕の技の結晶と言える最高商品です。より丁寧な磨きによって仕上げられたステンレスは吸い込まれるような美しさです。特に白ワインは磨き上げられたステンレスに反射して金色に輝き、一層美味しくいただけます」と紹介している。