三条祭りの15日に行われる大名行列に向けて、行列を先導する奴(やっこ)を演じる三条先供組合(赤坂一夫会長)は、ことしも10日夜から恒例の練習を行った。
10万石の格式とされる三条の大名行列は、毎年400人近くで編成され、15日の午後0時45分に八幡宮を出発する。
先供は、その先頭の鉄棒、露払いに続き、先箱(さきばこ)、長柄(ながえ)の傘、大羽熊(おおはぐま)、投鞘槍(なげさややり)、天目槍(てんもくやり)、台傘(だいがさ)、立傘(たてがさ)、手杵傘(てぎながさ)の道具の順に、2人1組で、たがいに道具を投げて受け渡しながら進む。
「えーとまかせー」など奴のかけ声は、「十万石格式の大名行列一式」とともに「先供(奴)祭囃子」として三条市の無形民俗文化財に指定されている。また、静かな行列の中では最も動きのあるパートで、道路の両端から道具を投げて、受け渡しが成功すると、沿道の見物客から拍手が起こる花形的な存在だ。
メンバーは20歳代から60歳代の男性43人で、ことしは2年ぶりに新人が加入。いずれも三条市在住で、佐藤公信さん(41)、竹内誠さん(41)、小浦方敦将さん(29)の3人。小浦方さんの父もメンバーで、同組合2組目の親子2代の奴だ。
竹内さんは、長らく大名行列を支える三条祭り若衆会などで祭にかかわり、2012年には会長も務めた。若衆会の活動のなかで、奴や導祖神の会でも人手が不足していることを知り、昨年、所属団体を卒業したことから「少しでも力になれれば」と奴を演じる同組合に志願した。
行列には最低24人の参加が必要。力強い新人3人が加わったものの、当日の参加予定は28人で交代要員を含めるとまだまだ足りないくらい。やる気のあるメンバーを引き続き募集している。
同組合は毎年5月1日に八幡宮で顔合わせを兼ねた練習を行い、10、11、12日の夜、本格的な練習をして本番にのぞむ。ナイター設備のある学校のグラウンドで練習を行っており、ことしは旧南小学校が会場。
ストレッチ運動を行ってから、それぞれ練習用の道具を持って動きを確認したあと、隊列を組んで「えーとまかせー」、「あれわいさーのさー」とかけ声をかけて練習して1年ぶりの勘を取り戻し、さらに演技の指導を受けながら本番に向けて気を引き締めていた。