17日に宵宮、18日に本祭と行われる燕市・戸隠神社(星野和彦宮司)の春季例大祭に向け、万灯を奉納する木場小路と横町の万灯組、獅子神楽を奉納する上横町神楽保存会は毎晩、練習を行われ、日暮れとともに町に響く笛や太鼓の音が春祭りが間近いことを告げ、祭り好きをそわそわさせている。
木場小路万灯組は戸隠神社のある宮町の万灯組で、1812年ころの発祥とされ、その後、間もなく今の中央通の横町万灯組が生まれたとされる。万灯は縦横約3メートルの大きな台車の中央に灯ろうを載せ、そのてっぺんから色とりどりの紙で飾った数十本のタケをしだれのように垂らす。
若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上では太鼓や笛が祭りばやしを演奏。はやしにあわせて「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を広げて踊る。
最も注目を集めるのは、若連中が「木遣(きやり)音頭」と「伊勢音頭」を歌い、それにあわせて踊る小学生の女の子。木場小路万灯組は“お玉”、横町万灯組は“踊り子”と呼び、春祭りのアイドル的存在だ。
どちらの万灯組も週初めの11日から毎晩、“宿”と呼ぶ戸隠神社裏の集会所で行っている。お玉は小学校1年生から6年生までの12人。ことしも総代は沖坂正喜さん(39)=水道町2=と小林健夫さん(38)=水道町4=の2人体制。日本舞踊、吾妻流名取の吾妻春登茂さん=三条市下須頃=がけいこをつけている。一方で数十人の若連中が万灯に飾る花を作り、けいこが終わると今度は酒の練習が始まる。
横町万灯組の練習場所は、ことしも第一生命燕ビル1階の駐車場を借りている。踊り子は小学校2年生から5年生までの12人。会場が広いので踊り子は1列になって練習を繰り返す。木場小路万灯組のお玉は、小学校を卒業するとお役御免だが、横町万灯組は卒業しても笛で参加でき、中学生も笛を吹く。若連中は約140人にもぼり総勢200人を超す大所帯。総代は毎年交代し、ことしの総代の角田弘志さん(54)=中央通1=は、宮町のオーバーアーケードがなくなって雨がいっそう心配になるが、「逆に五月晴れの青空の下で万灯を披露できる」と新しい春祭りの風景に期待する。
上横町神楽保存会(石黒政明会長・会員17人)は、7日から中央通一集会所で練習している。2人1組で踊る獅子神楽で、道具の箱書きには弘化元年(1844)とあり、200年は続いているようだ。
18日行われる大名行列が通る大通りを中心に旧燕町内の約200軒を回って獅子神楽を披露するほか、数年前からみこしの先導も任され、露払い役も務める。宵宮から集会所や境内、三条屋交差点などでパフォーマンスを披露するが、ハイライトは舞い込みも終わって祭りの最後を締めくくる境内の拝殿前でのパフォーマンス。最後の星野宮司のあいさつの前に三騎で獅子神楽を舞って祭りのフィナーレを演出する重要な役割だ。
会員は45歳から79歳までの17人で、本番にはうち15人が参加。14日夜の練習でも舞い方の細かな部分を話し合って完成度を高めていた。会長の石黒政明さん(70)=中央通1=は、「やるからには少しでも芸のあるいいものを見せたい」と話していた。