三条祭りは15日、大名行列と舞い込みが行われった。雨脚が強まって行列は神明宮付近で中止したが、舞い込みは内容を変更して実施。舞い込みでは雨にぬれながらも約650組、1,300人(三条市調べ)の親子が肩車をしてみこしなどに続いて拝殿へ上がり、わが子の無病息災を願った。
15日は午前10時からの神事で始まり、午後0時45分に大名行列が八幡宮を出発。先供(やっこ)を先頭に、導祖神(てんぐ)、弓持ちや鷹匠の子どもたち、三条祭り若衆会、神職、囃子方など続き、最後尾に傘鉾人形の約400人の行列が進んだ。
導祖神は、八幡宮から出発する「ふみだし」のときだけ2本歯の高下駄をはいており、大通りに入ってからは高さ2尺(約60センチ)、厚さは5分(約1.5センチ)の1枚歯の高下駄で邪気を踏みしめながら進み、市民の健康と安全を守ると伝わる。
「天狗様が転ぶとそこから火事が起きる」とも言われており、行列の途中で導祖神がバランスをくずした場面では、両脇を支える2人の「徒士(かち)」もぐっと力が入り、緊張感が広がった。見物人もその数秒間を息をのんで見守り、導祖神が息を整えて歩き出すと、「あ〜、よかった」とほっとした表情だった。
行列の出発時は薄曇りだったが、途中から雨が降りだし、午後3時半前に神明宮付近で中止となった。雨は降り続いたが、その後の舞い込みは例年とは多少内容を縮小しての実施を決め、午後5時前に導祖神と神馬が拝殿に入り、通常境内を3周するところを、2基の神輿と太鼓がそれぞれ1周、それに続いて子どもを肩車した親子が拝殿へと入った。
雨具を着ている子もいたが、肩車をするおとなや祭り関係者などほとんどが頭から足袋まで全身びしょ濡れだったが、最後の太鼓がもみ合いの末に拝殿に入ると参加者も見物人からも大きな拍手が起こった。
三条祭り若衆会の原田洋一会長があいさつすると大きな拍手が起こり、2日間の行事の幕を引いた。終了後、原田会長は祭のためにかすれた声で、天候に悩まされた祭りについて「こんなことめったにないが、いい思い出となります。形は違うけれど舞い込みまですることができてほっとしてます」。
ことし祭典委員長に就いた吉井直樹さん(50)は「緊張したままだったが、無事に終わることができてほっとしています」と、2人ともようやく笑みがこぼれた。