燕市・戸隠神社(星野和彦宮司)は17日、春季祭礼の宵宮祭を行った。サンロード宮町のオーバーアーケードが撤去されて初めの春祭り。夕方、小雨がぱらつき、西寄りの風が強く、最高気温は4月上旬並みの13.3度にとどまって肌寒かったが、天気に邪魔されることなく、予定通りに行事が行われた。
戸隠神社では、午後7時から神事が行われた。戸隠神社の春祭りの名物行事といえば万灯。ことしも木場小路万灯組と横町万灯組の2つの万灯組によって行われている。
木場小路万灯組は戸隠神社のある宮町の万灯組で、1812年ころの発祥とされ、その後、間もなく今の中央通の横町万灯組が生まれたとされる。万灯は縦横約3メートルの大きな台車の中央に灯ろうを載せ、そのてっぺんから色とりどりの紙で飾った数十本のタケをしだれのように垂らす。
若連中が綱を引いて町内を回り、万灯の上では太鼓や笛が祭りばやしを演奏。はやしにあわせて「ひょっとこ」と呼ばれる男の子が扇子を広げて踊る。
そして最も注目を集めるのは、若連中が「木遣(きやり)音頭」と「伊勢音頭」を歌い、それにあわせて踊る小学生の女の子。木場小路万灯組は“お玉”、横町万灯組は“踊り子”と呼ぶそれぞれ12人編成で、春祭りのアイドル的存在だ。
木場小路万灯組は午後4時から地元の集会所で出陣式を行い、横町万灯組は練習会場に借りている第一生命燕ビル前で出陣式。それからそれぞれ家々を回って踊る門付けや通りなどで大勢の前で踊る下座を披露した。
ハイライトは終盤の戸隠神社境内での下座。木場小路万灯組は午後8時から、横町万灯組は9時から行った。参道の先に万灯を据え、戸隠神社に参拝してから参道に一列に並んで踊ると、それを囲んで2重、3重の人垣ができ、踊りが終わると大きな拍手がわいた。
一時は小雨が降ったが、傘が必要なほどではなく、オーバーアーケードの有無は行事に影響しなかった。オーバーアーケードの下を照らすのは街灯だけになり、これまでよりも薄暗かったが、オーバーアーケードの天井の代わりに空が見え、逆に祭りの風情を演出には効果的。商店街のビルの階上からは、これまで見ることのできなかった露店が並ぶ風景を見ることができ、新しい祭りのスタイルがスタートした。
ただ、寒かったせいか人出は昨年より少なかったようだ。翌18日は例大祭。戸隠神社は午前8時から市中祓い、午後1時半から神事、4時からみこし行列を行う。前日に続いて万灯も行われ、ラストは午後8時から木場小路万灯組、8時半から横町万灯組が舞い込み、神輿還御、上横町神楽保存会の獅子神楽で祭りを締めくくる。