燕市に住む鎚起銅器職人の大橋保隆さん(38)の招きで23日、富山県のNPOバンク「はちどりBANK@とやま」の代表理事、向早苗さんが燕市でNPOバンクについて講演し、20人近くが参加した。
向さんは1969年富山県富山市生まれ。短大卒業後に銀行に就職。結婚を機に退職。6年ほど前からNPOバンクに興味をもって富山で立ち上げようと動き始め、2011年に「はちどりBANK@とやま」を設立。パン教室の講師をしながらはちどりバンクの運営に携わっている。
講演では、NPOバンクを始めるに至った経緯から、市民の出資で市民事業など社会的に求められているニーズに対して融資する非営利な金融機関であること、NPOバンクの現状、意義などについて話した。
向さんは、環境、経済、平和などのNGO活動にかかわる文筆家、田中優さんの講演でNPOバンクを知って衝撃を受け、地域に根差した活動を続ける名古屋のNPOバンクを知り、それを富山にもちこみたいとNPOバンクを立ち上げた。
金利はほとんどが3%以下で、担保はとらない。一般の金融機関といちばん違うのは、情報が公開され、自分の出資金が同使われているかがわかる。
はちどりBANK@とやまでは、これまで3年間でフードバンクとやま、着地型観光ツアー、農業とITを結びつけるコンサルティングの3件に融資している。
反面、3年以上の実務経験のある貸金業務取扱主任者の設置が義務づけられているなど、事業を立ち上げるハードルは高く、思いつきで始められるような事業ではない。
大橋さんが燕市でNPOバンクの立ち上げを目指していることについて向さんは「社会に貢献する事業をやっていきたい人の応援になると思うので頑張ってほしい」とエールを送る。
大橋さんは、自身のワークショップで1枚の銅板がどうやって鍋になっていくかを見てもらっているが、一般の金融機関に預けた金はどうやって集まり、どう循環されているかわからない。それに対してNPOバンクは「お金と信頼がぴったりきている活動であり、皆さんに知ってほしい」と話した。