平成2年に三条市下田地区の「吉ヶ平(よしがひら)」の由来や暮らしを記した『忘れ得ぬふるさと 吉ヶ平物語』(故鈴木由三郎さん著)が刊行された。それから20年余り、貴重な資料を次代に引き継ごうとその複製本が発刊した。
著者の鈴木由三郎さんは、昭和4年9月、「酒楽」という屋号の鈴木家の長男に生まれ、同書の刊行に寄せられた言葉によると、少年時代から研究心の強い人だったという。離村後は笹岡に移り、平成14年に亡くなった。
「忘れ得ぬふるさと 吉ヶ平物語」は、昭和45年に集団離村した吉ヶ平の閉村20周年記念として刊行されたもの。吉ヶ平出身者でつくる「雨生会」が、閉村20周年記念として平成2年に発刊した。
文化の伝承と記録のためにと、かつてのふるさとの姿やそこで暮らす人たちが受け継いできたことを記す。鈴木さんが少年時代から見聞きしてきた体験や歴史を写真や地図とともにつづった。年代の推移や行事、習慣、生活、歴史、集中豪雨や雪などの災害、あとがきなども含めて162ページに渡る。
発刊から24年近くになり、三条市が下田地域の観光促進などを目的に「吉ヶ平周辺整備」を行うことや「八十里越」などで注目されるようになっていること、20周年当時からもさらに出身者の世代交代が進み、同書を読んでみたい、家にあったようだがなくなったという人などから、再発刊の要望があり、複製本を製作。5月中旬に300部を発刊した。販売価格は1冊2,200円。
また、複製本の製作にあたって、元本でもカバー表紙の題字とイラストを行っていた現八木神社の石沢功宮司が、いずれも新たに書いている。
取り扱いは、下田地区の道の駅漢学の里「しただ」といい湯らてい、スコーチ=三条市上保内=で行っているほか、送料200円で郵送も行う。問い合わせや郵送の申し込みは、雨生会事務局の大竹さん(スコーチ内・電話:0256-38-4755)か、吉ヶ平保存会の梅沢代表(ファクシミリ:0256-35-6874)へ。